第6-2話 瑛太のアパートで

「杏奈の昔の写真を見たいんだけど?」


「アタシの過去を知ったら瑛太はアタシから離れて行くから見せられないよ」


「離れるなんか絶対にないから」


「アタシは高校を中退しているし過去に少年院にも入っているし前科者だから」


「そんな過去の事なんか関係ないよ。これからをどう生きるかじゃない?」


「そうだけど、こんなアタシだったんだけど、嫌いにならない?」


「なる訳ないよ」


 杏奈はスマホにあったギリギリで見せられる写真を見せていた。


「この五人の女性の中でやっぱり杏奈が一番、キレイだから。僕の目に狂いは無かったよ」


「本当に大丈夫なの? アタシみたいな女で」


「うん。大丈夫だよ。生きて来た世界が違うだけだから。僕だって、杏奈には敵わないかもしれないけど高校、大学とそれなりに遊んできたつもりだから」


「そうなんだ」


「僕は杏奈と結婚を前提にお付き合いをしたいんだよ」


「えっ! こんな私と結婚しようと思っているの?」


「そうだよ。ダメかな?」


「ダメじゃないけど、こんな私なんだよ」


「だって、一つになったのに遊びの気持ちで杏奈を抱いたつもりはないから」


「本当にその言葉を信じてもいいの?」


「当たり前だよ。明日、仕事が終わったら、杏奈の家に行ってお義母さんに挨拶をしに行くから」


「そんな直ぐに挨拶を?」


「そうだよ。だから僕の両親にも会ってほしいんだ。僕が杏奈と真面目に付き合いたいという気持ちを分かってもらう為にさ」


「その気持ちは嬉しいけど、ちゃんと恋人の付き合いをしてからにしようよ」


「そうだね。じゃぁ、とりあえず杏奈のお母さんにだけ会いに行くよ」


「うん。でも家の母に会ったら瑛太は幻滅するかもしれないよ」


「大丈夫だって、それと今晩は泊まっていってよ」


「うん。泊めさせてもらうね」


「じゃぁ、シャワーを浴びて寝よう?」


「うん」


「おやすみ」


「おやすみなさい」


※ ※ ※


 明くる朝。


 杏奈は先に起きて洗顔をした後に冷蔵庫の中にあった食材で朝食を作りインスタントコーヒーを淹れていた。


「おはよう」


「もう起きていたんだ?」


「朝食は冷蔵庫にあった物で作ったから。それと洗面所に歯ブラシの換え置きがあったから使わせてもらったからね」


「うん。昨夜、言っておけば良かったね。ごめんね」


「朝食を作ったから洗顔して来て!」


「うん」


「うまそー!」


「ハムエッグチーズサンドだから簡単に食べられるから朝はいいよね?」


「朝は忙しいからね」


「今日の十五時前に学校の学童に来てよ」


「うん。じゃぁ、アタシは家に帰って母に今日、瑛太が来る事を言っておくから」


「うん。じゃぁまた後でね?」

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