第5-2話 お好み焼屋でデート

「ではママが焼いた方が美味しいとは思いますが、門前の小僧が焼きますね」


「手際が良いんじゃないの?」


「お菓子作りではダメでしたけど、これはもう何十回って作っているし食べているので」


「葱焼き、お待ちどうさまです」


「葱焼きは牛スジとコンニャクと分葱のお好み焼きなんですけど、ママはここの特製のソースで食べさせようとするんだけど、僕は醤油と七味唐辛子で食べるのがマイブームなので、端っこで焼きましょうね」


「モツ焼きとゲソ焼きは食べ頃なのでどうぞ!」


「本当だ。美味しいね!」


「でしょう?」


「ゲソのココが柔らかくて美味しいんですよ」


「この部分は何なのかな?」


「オチンチンですよ」


「そんな大きな声で言わないで!」


「ごめんなさい。烏賊の足は十本って良く言うけど本当は八本で後の二本が手です」


「そうなんだ」


「すみません、生二つお願いします!」


「かしこまりました」


「あの子はお好み焼き屋さんの接客じゃないですよね?」


「でも、丁寧なのは良いんじゃない?」


「そうですね。ママの接客は友達感覚なので、あの子のように丁寧な方が良いから。足して割れば丁度良いですからね?」


「瑛太! 私の悪口を言っているの?」


「本当の事を言っているだけですよ」


「確かにそうだよね。私のは、接客じゃないからね?」


「分かっているじゃないですか」


「今回のパートさんは本当に丁寧な人で良かったよ」


「評判、良いんじゃないですか?」


「うん。お陰様で」


「葱焼きも食べて下さい!」


「生二つ、お待ちどうさまでした」


「ありがとうございます」


「美味しい!」


「でしょ!? 醤油と七味が合うんですよ。だってコンニャクの醤油煮が入っているのにソースは無いじゃないですかね?」


「瑛太! また私の悪口を言ってるの?」


「悪口じゃないですよ」


「これからは醤油と七味とソースで好きな方で食べてもらうようにするからさ」


「そうですよ。ママは『これで!』と強制するからダメなんですよ」


「はい、はい」


「杏奈さん、お腹の方はどうですか?」


「お腹いっぱいよ」


「じゃぁ、帰りましょうか?」


「そうね」


「ママ、お会計をお願いします?」


「四千五百円だけど五百円引いて四千円で!」


「今日は彼女と一緒だから、ちゃんと払いますよ」


「はい、四千五百円で」


「瑛太、杏奈さん、ありがとう!」


「ご馳走様でしたぁ!」


「ありがとうございました! またのお越しをお待ちしております!」


「本当に丁寧だよね?」


「瑛太さん、ご馳走様でした」


「アンタじゃないんですね?」


「だってアタシを彼女って言ってくれたから、これからは恥ずかしいけど瑛太さんって呼ばせてもらうから」


「じゃぁ、それでお願いします。でも『瑛太』だけでもいいですよ」


二人は自然と恋が深まっていった。

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