第5-1話 お好み焼屋でデート

「いらっしゃいませ!」


「二人なんですけど」


「今、テーブルを片付けるから待合室で待ってて!」


「はい。ここはいつも忙しいから」


「本当よね。いつ来てもこんな感じだもの」


「重いのに一緒に持ってもらってすみません」


「ううん。普通だったらレジ袋を買わなくてはいけないのに、店長さんが気を利かせて持ち易いようにして下さったから助かったわよね?」


「本当ですよね。でも流石に重いですよね。お陰でお腹がペコペコになりましたよ」


「本当よね」


「お席のご用意が出来ました!」


「ありがとうございます」


「やっぱり、アンタは育ちが良いのよね?」


「どうしてですか?」


「アタシが今まで付き合って来た人たちは一々、アンタのようにお礼を言う人なんていなかったから。そんな事よりも注文しないと」


「そうですね。では飲み物は何が良いですか?」


「アンタと同じ物で」


「だったらビール飲めますか?」


「うん」


「じゃぁ、生二つでお願いします。それと明石焼き玉子焼き一人前でとりあえずお願いします」


「杏奈さん、後は何にしますか?」


「アンタと同じ物でいいよ」


「では、僕に任せて下さいね」


「うん」


「生ビールです」


「ありがとうございます。では注文をお願いします。モツ焼きとゲソ焼そして葱焼きでお願いします」


「モツ焼きとゲソ焼きと葱焼きが、お一つずつですね?」


「はい。そうです。お願いします」


「かしこまりました」


「新しく入ったパートさんだけど、接客が良いですね」


「本当ね」


「ここのモツ焼きは豚モツなんですけど、一緒に焼いている長葱の食感や甘い味も良くて美味しいんですよ」


「アタシは食べた事が無かったから楽しみだよ」


「美味しいですよ。それにゲソ焼きのゲソが太いから柔らかくて美味しいんです」


「これもアタシは食べた事ないから楽しみだよ」


「楽しみにしていて下さい。生、お替わりしますか?」


「うん。喉が渇いちゃって」


「遠慮、しないで下さいね?」


「明石焼き、お待ちどうさまです」


「杏奈さん、熱い内に食べて!」


「相変わらず美味しいね」


「本当ですよね」


「モツ焼きとゲソ焼き、お待ちどう様です。ママが焼きますのでお待ちください」


「瑛太、今日は綺麗な女性と一緒なんだね?」


「ママ、その言い方はないんじゃないの?」


「だって瑛太はいつも寂しそうに一人で来ていたから、オバサンは心配していたんだからさ、もしかして男が好きなのかと思ってさ!」


「何を言っているのよ。僕の彼女だよ!」


「杏奈です。宜しくお願いします」


「宜しくね! うちのお店には良く来てくれているものね。これからは瑛太の彼女って言う事で、私の記憶に入れておくからさ。じゃぁ、忙しいから、瑛太! 自分で焼いてよ」


「は~い」


「ママと仲がいいんだね?」


「うん、僕が独身だから面倒見てもらっているって感じで、良くお惣菜とか持たせてくれていたので、ママには世話になっていて」


「有難いよね」


「本当ですよ」

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