その日は陽が傾き始める頃、カエデとアーサーは森の中で過ごした楽しい時間を終えようとしていた。カエデは日が落ちてしまう前に家に帰る必要があったため、小さな魔物アーサーに別れを告げることにした。

「今日は本当に楽しかったね、アーサー。またすぐに会おうね。」とカエデは優しく微笑みかけた。アーサーはちょっと寂しそうに見えたが、小さな手を振り返して頷いた。

帰り道、カエデは森の静寂の中で耳を澄ました。この秘密の冒険がいつまで続けられるのかはわからなかったが、この瞬間だけは大切にしたいと思った。家に戻ると、そこにはダリルが待っていた。彼の姿を見るだけで、カエデは安心感に包まれる。

「おかえり、カエデ。なんだか今日はいい顔してるな。何かいいことでもあったのか？」ダリルはにこやかに尋ねた。

カエデは一瞬どう答えようかと迷ったが、秘密は守らねばと心に決め、「うーん、ただ森で少し遊んできただけだよ。」と笑顔で返した。ダリルはカエデの変わらない笑顔を見て、特に深入りせずに穏やかに頷いた。

次の日、カエデはいつもより少し早く起きて支度を始めた。慌ただしい様子にダリルが不思議そうに「今日は何か特別なことでもあるのかい？」と尋ねましたが、カエデは笑顔でこう言いました。「ううん、ただ森に行くのが楽しみで！」

とカエデはごまかしつつ、早々に家を出発した。彼女の心はすでにアーサーとの再会でいっぱいだった。

その日から、カエデとアーサーは毎日のように森での冒険を共にしました。町によって管理されたこの森は、カエデにとって何度も訪れた馴染みの場所でしたが、アーサーと一緒だと何もかもが新鮮に感じられます。大木を絵本の巨大な敵に見立てて勝負を挑んだり、深い茂みを秘密の通路と見立てて駆け抜けたり、カエデの想像力はアーサーによってさらに豊かに広がりました。

二人の絆は日々強まっていった。

月が経つにつれ、カエデの冒険心はさらに膨らみます。この小さな森だけではなく、もっと広い世界を見てみたいという気持ちが大きく育っていました。アーサーもまた、そんなカエデの気持ちを察しているようでした。そこで、二人は町を抜け出し、もっと大きな冒険に出るための計画を立て始めました。どんな危険が待ち受けているのか、それともどんな素晴らしい景色が待っているのかを考えると、二人の胸は期待でいっぱいになりました。

「じゃあ、計画を立ててみようよ。どうやって町を抜け出すか、一緒に考えよう。」カエデの提案に、アーサーは熱い瞳で頷いた。二人はひそかに町を抜け出す計画を練り始め、新しい冒険への第一歩を踏み出そうとしていた。