6話 出落ち。 

 


 


 「大概にs…!!」 

 


 台パーン。

 手が痛い。机が揺れた。 


 コメント

 :草

 :これが友人受けおりの台パンか…

 :めちゃくちゃいい音してるw

 :痛そう

 


 


 【repex】10年ぶりのFPSゲーム【出溜田弁/ぶいらいふ!】

 


「はい、というわけでFPSでーす」 


 コメント

 :いえーい

 :最近流行りのやつか

 :皆やってるよな

 :どんくらいできるんやろか 


「流行に乗り遅れたらただの残念なおじさんになりますからね」 


 コメント

 :うっ

 :アラサー=おじさん派閥か

 :まあ大会とかもあるしええんちゃうか

 

 今回やるゲームは『repex』

 3人一組でチームを組み、最後まで勝ち残ることを目指すバトルロイヤルゲーム。

 最近はのりにのっており、ストリーマー大会や世界大会なども活発的であるという。やっておいて損はない。それどころか、やっておかなければならないだろう。


 FPSをプレイするのはもう10年ぶりともなる。

 配信でホームランダービーやモリカーなどのゲームはプレイしてきたが、FPSはしていない。そもそもFPSに余り触ってきていなかったのかもしれない。

 

「約10年ぶり、当時の感覚は失われていると言ってもいいでしょう」

 

 コメント

 :結構昔だしゲーム性とかも変化してそう

 :高校時代か

 :また例の友人? 


 「そうですね。友人に勧められて半強制的にプレイさせられました」 


 コメント

 :草 

 :いつか友人も配信出演くるかもな

 :友人と仲良さそうでなによりだわ

 

 あの頃は友人の家に行ってプレイしていた。

 彼の家にはゲームやラノベなどのサブカルチャー的なものが多数あった。というのも彼自身がサブカルチャーが好きだったからなのだが。

 彼はゲームが阿呆みたいに強かった。だからこそ参考になる部分もあったのだが…… 


「――もうこれ昔の感覚では絶対無理ですね」


 コメント

 :ぬるぬるやん

 :見るとプレイしたくなってくる

 :十年前とは全然違うからね

 

 画面がぬるぬるである。

 画質は現実と見紛うほど綺麗であり、画面に視線が吸い込まれていっているようにすら感じる。

 FPSに限らず、最近のゲームは画質などの向上が激しい。いつの日か、現実を再現してしまうような時が来てしまうのかも知れない。 


 :パソコンいいやつなんか? 


「会社から送られてきたやつ、やばいですよ」


今まで会社で使用していたパソコンは業務優先であり、ある程度のスペックは兼ね備えていたものの、グラボ等はないためゲームが出来るものではない。

 では、このパソコンは何なのだろうか。

 CPU、GPU…挙げればきりがないほどのパソコンの部位が各々最先端を行っている。これを買うのに何円したのかということが気になってしまうのは仕方がないだろう。

 


 「…300フレームレート」


 コメント

 :は?

 :ガチ強パソコンで草

 :30、40万はいってそうw


 考慮しなければならない点は、配信しながら、それもVTuberでありながらという点である。 基本的にフレームレートは下がるはずなのだが、それでいてこの数値を維持している。

 モニターなどの周辺機器も含めると相当行くのではなかろうか… 


 いや、やめよう。経費経費。


 バトルロイヤルゲームは実のところしたことがない。

 ゲーム性こそ理解しているものの、武器や立ち回りなどに関する知識は皆無であり、初心者も初心者。上手いプレイなどは到底期待が出来ない。

 

「まずはチュートリアルですね」 


 チュートリアル。ありがたい。

 チュートリアルでは一般的な操作方法やシステムについて解説をしてくれる。

 

「キー設定ってどうすればいいですかね。絶対これ議論になると思うんですけど」 


 コメント

 :取り敢えずダッシュキーとかはいらんやろ

 :マウスホイール前進

 :とりまサイドボタンでアビリティじゃね

 :cで拾え

 :

 : 

 :

 : 


「取り敢えず、キメラ全合わせでやっていきますか?」


 コメント欄に書かれた設定に変更していく。

 絶対これ間違っているだろ、というものもあるが、そこもやっていくことで初めてキメラは完成する。やっていけば案外慣れるかもしれないし。


 コメント

 :草

 :どんな設定やねんw

 :化物生んじゃったよ…

 :Kで回復草 


 …なるほど。設定が完了したが、明らかにやりにくい。

 一時的にWASDから手を離さなければならないなどの欠陥もある。FPSゲームでは致命的だ。

 まあ、それも楽しいのだが。

 


「この終わってるキー設定×アラサーの反射神経×ブランク。もうおわかりですね?」


 コメント

 :終わりですね

 :めっちゃやりにくそうw

 :手映して配信したらおもろそう

 :3D配信の内容決まったか? 


 決まってたまるか。

 反射神経は20代前半から衰えていくという。つまり、現在退行真っ只中なのである。FPSにおいて重要なものがとことん駄目である。まともなのはPCスペックと感度だけ。

 経験に頼ることも出来ない。 


「さて、取り敢えず基礎理解ですかね」

 


 


 コメント

 :何を見せられてるんだ…?

 :もう3時間経つのですが

 :成長度合い気持ち悪いわ 


「あともう少しやらせてください」


 リコイル制御。武器の反動を抑える。

 反動には法則があるため、それを理解さえ出来ればある程度の当て勘は保証される。ならばやるしかない。

 エイムについては現状ではなんとなくでやるしかないため、リコイルだけは抑えておく。

 立ち回り?そんなのは後回しで。 


「…アップ完了ですかね」


 コメント

 :プロ選手か?

 :アップ(3時間)

 :明らか上手くなっていくのキモいわ 


「キモいって酷いですね。ある程度ゲームを理解していっている感じです」 


 『なんとなく』で出来るようになるのと、理解して出来るようになるのでは違う。それこそ、プロ選手などはゲームについての知識などによって理解しているため上手なのだ。

勿論、なんとなくでも出来るのだろうがそれでは不完全燃焼だ。

それに理解することが楽しい。 


 :立ち回りとかは大丈夫なんか? 


「今はエイムで何とかするんですよ」


 コメント

 :ゴリラ思考…?

 :草

 :普段からは考えられない脳筋発言w 


 立ち回りは知識だけで補える部分もあれば、そうでない部分もある。

 咄嗟の判断等は恐らくお粗末なものだろう。

 現状このゲームを長くやるかすら不明であるため、なんとも言い難い。


 だが、大会等も盛んに開かれているため、出来るに越したことはない。

 VTuber大会も開かれているため、それに参加する機会もあるかもしれない。実際、有葉先輩は既に参加しており他社や個人のVTuberと交流を重ねている。

 

「このゲームでコラボとかも出来るかも知れませんね」 


 コメント

 :まあ流行りやしな

 :最近テレサちゃんも始めたらしい。酩酊配信だったけど

 :↑酔拳とかいって殴ってたの笑った

 :楽しみにしてるわ 


「まあやるとしても先ずは同じ事務所内でしょう」 


 コメント

 :これは照野か?

 :いや岩間やな

 :個人とかともやってほしいところやけどな


 コラボはやるに越したことはない。勿論、炎上しない場合だが。

 燃やされると面倒である。炎上商法でもないのだから勘弁願いたい。 


「――と、始まりましたね」


 コメント

 :おっ

 :きたきた

 :やっとか 


 キャラクターは十人以上おり、それぞれに固有能力がある。各々の能力の噛み合わせなども非常に重要であり、楽しさも変わってくるという。

 サポートキャラが初めならばいいのかもしれない。

 だが、 


「選ばれたのは黒光りでした」


 コメント

 :カサカサ

 :G?

 :出た変態ストーカー?


「変態ストーカー?こいつそうなんですか?」


 コメント

 :まじ 

 :自分を人間だと勘違いしてる変態ストーカーキラーマシーン

 :散々で草。まあウルトうざいからな


 

 このキャラはスキルで相手のスキルを封じ、必殺技では残機を作れる。確かに面倒である。


 だが、気になるのは変態ストーカーという点である。

 恐らくこのゲームのストーリー上そういった行動をしているのだろう。この黒光りがカサカサとストーカーしている様は中々にシュールではありそうだが、キラーマシーンであるというのならば納得が出来る。 


「昔の変態ストーカー思い出しますね…」


 コメント

 :あー前言ってたな

 :例の職場のストーカー

 :フラッシュバック?


「ちょっと後悔してるかもしれないです」


 コメント

 :早速で草

 :どんだけ嫌やねんw

 :ストーカーとかされてる側からするとマジで嫌なんだろうな


 このキャラピックにも過去の行動にも後悔している。

 いや、あの行動は正解ではある。結果的にメリットは大きかったわけだし。

 今考えた所でどうにもならないが。

 

「いいペースですね」


 初動被ることはなく、順調に装備は整っていく。このまま行けば優勝の可能性もある。

だが、だがしかしである。 



「――キー設定が本当にやりずらい」 


 コメント

 :草

 :時折行動停止せんといけん

 :明らか設定ミスってるってw

 :ようやるわ 


 もはや小指、薬指、中指でWASDを使う技能を習得しかけている。人差し指は行方不明。ゲームならば使うことのないKやLなどを頻繁に使うため、指が忙しい。

 動かし方としては理解が出来るものの、それを常時しろというのは無理がある。 


 その時、味方が攻撃を始めた。

 接敵である。 


「初戦闘。少し楽しみですね」 


 コメント

 :戦闘狂?

 :ゴリラ?

 :ラッパ? 


 味方が能力を使ったことで敵の位置が割り出される。3vs3の構図。

 こういった戦いでは先に撃破されないことに注意を払わなければならない。それでいてダメージを与える。そういった立ち回りである。

 変に裏に回っている隙に突撃されても笑えないため、素直に銃撃戦に応じる。


 少し撃ち合ったが、戦況は膠着状態。現状チームは多く残っているため、漁夫が来る前に終わらせたい所ではある。出し惜しみするわけではないが、ウルトはまだ早い。


 だが、少しずつ。少しずつではあるが 



「――感覚が掴めてきた」


 

 マウスが自分の意識と連動するように動く感覚。それが合わさった時、エイムは合う。リコイルに意識を割きながら、エイムに集中をする。

 画面の中心に敵が合う感覚。その状態で撃つだけ。

 

「おぉ…」


 コメント

 :ワンマガ!?

 :うっま

 :おいキモイって

 :また急に上手くなり始めてね?

 :才能やわ 


 敵一人が溶ける。

 それを合図に味方とともに相手に突撃し、相手は壊滅。取り敢えずの勝利である。 


 完全に感覚頼りのエイムではあったが、上手くいったようで何よりである。

 改善点は幾らでもあるが、エイムがあった時の快感は中々ない。FPSが人気になる理由だろう。

 立ち回りはこの戦闘だけで理解は出来ていない。そんな簡単に出来るはずもないが。

 

「いい感じでしたね」 


 コメント

 :練習の成果でたな

 :ナイスプレイ

 :成長度合いやばいわ 


 成長、というとどうなのだろうかという疑問はある。

 偶然感覚が合っただけの可能性もあるため、一概には言えない。安定して今のエイムが出来るようになったのならば確かに成長したといえるのかもしれない。

 確立の上昇が成長なのだろうと結論付ける。


 成長に最も手っ取り早いのは経験することである。

 失敗でも成功でもいい。ただその要因を見つけ出し、改善・習慣化する。

 それをどれだけ出来るかというのが成長の速さではある。


 だが人間は不公平なもので、同じ方法でも成長の速さには個人差があり、成長幅にも個人差があるわけなのだが。

 自分は才能には恵まれたのだとは思う。



 

「――これあるんじゃないですか?」


 コメント

 :まじでありそう

 :いけるんじゃね?

 :安地もいい感じ 


 残りは自分達を含めて3チーム。いや、今安地で1チーム壊滅した。

 装備は既に揃っており、戦闘になっても全く問題がない。

 相手も3人揃っているため油断することはないが、勝てる確率は高い。 


「チクチクしながら膠着状態ですかね…」


 コメント

 :まあ焦らんでもええわ

 :ゆっくり落ち着いてこ

 :リコイル見せたれ 


 高所にいるというわけではないが、こちらから攻め立てるのはリスクが高い。

 攻めるとするならば、偶然相手が一人ダウンした時などだろう。

 投擲物もないため、ただ膠着状態である。



 そんな時、突然ダウンした。 


「は?」


 コメント

 :え

 :スナイパーか

 :最強武器かよ 


 頭一発でダウンした。

 撃ったのはスナイパー。それも相手を頭一発でダウンさせることが出来るという代物。対策は武器に気が付いたら頭を出さないようにするだけである。

 知識としては知っていたが、体験してみると驚くものだ。 


 仲間は2vs3から起死回生はすることができず、そのまま壊滅。

 結果は2位。

 初めてならば良いのかも知れないが、結末が理不尽である。


 コメント

 :まあ、これはドンマイ

 :しゃーない

 :2位ならいいんじゃない?


「……友人がこういった展開の時にしていた伝統芸があるんですけど」 


 懐かしい。ゲームで彼は稀にしていた。

 今無性にその行動を真似してみたくなってきた。 


 コメント

 :おっ

 :声色がちょっと怖いw

 :何するつもりなんや

 

 右手をゆっくりと挙げていき、狙いを定める。

 機材に影響はなく、それでいてマイクの音が聞こえるような位置。

 あとは振り下ろすだけ。

 

「やります」 


 コメント

 :ごくりっ

 :仰々しいな

 :ドキドキしてきた 


 拳を一気に振り下ろす。

 ただ一心に。そして言うのだ。

 


 「大概にs…!」

 


 台パーン。

 拳が痛い。よくこんな行動をいつもしていたものだと感心すら抱く。 


「…配信終わります」


 コメント

 :草

 :おつ 

 :次回楽しみにしとるで

 :今日は短いな

 


 


 ぶいらいふ!を語るスレpart××× 


394:名無しのぶいオタ

 出溜田fps上手くて草 


395:名無しのぶいオタ

 バケモンスペックpc抜きでも上手かったな


396:名無しのぶいオタ

 成長速度がキモかった

 

397:名無しのぶいオタ

 >>396

 アーカイブ1時間飛ばしたらわかりやすいぞ 


398:名無しのぶいオタ

 まじで多才なんやろうな

 元経営者ってことは学業とかは勿論金融とかもいけるやろうし 


399:名無しのぶいオタ

 >>398

 株式投資やってるらしい。利益はぼちぼち


400:名無しのぶいオタ

 なお有葉… 


401:名無しのぶいオタ

 >>400

 辞めて差し上げろ。最後の1vs1で安地で死んだ話は 


402:名無しのぶいオタ

 ぶいらいふ!も皆やってるな 


403:名無しのぶいオタ

 repex俺も初めてみようかな


404:名無しのぶいオタ

 台パン検定一級のワイから言わせてもらうと、出溜田の台パンは一級品だった。

 そんじょそこらで身につくものではない。 


405:名無しのぶいオタ

 友人の受けおりって言ってたけど友人どんなやつやねんw 


406:名無しのぶいオタ

 >>405

 恐らくゲーム好き。まともではない(出溜田曰く)。台パン。


407:名無しのぶいオタ

 テレサちゃんの酩酊配信も良かったな。エイムぶれっぶれだったけど 


408:名無しのぶいオタ

 味方を敵と思って20秒撃ち続けた女

 途中で焦ってたの可愛かったわ。やっぱり酩酊から覚めて素の状態の声は最高やな。特にあの叫び声は堪らんかったわ。すぐにファイルに保存した。

 酩酊がいい味出してるんかね 


409:名無しのぶいオタ

 照野ネキは興奮してたな。ガスでダウンして

 

410:名無しのぶいオタ

 ぶいらいふ!魔の巣窟かなにかか…? 


411:名無しのぶいオタ

 >>410

 ようこそこちらへ(ニチャァ) 


412:名無しのぶいオタ

 出溜田の周りの人間関係が気になるわ 


413:名無しのぶいオタ

 >>412

 台パンするゲーマー友人。会社の時からの変態ストーカー。高校の時の親友(元カノ)

 出溜田曰く周囲の人間は濃かったらしいからもっと変なのいそう 


414:名無しのぶいオタ

 サンガツ 


415:名無しのぶいオタ

 出溜田本人が中々濃いからな。人生しかり、人間性しかり。 


416:名無しのぶいオタ

 >>416

 なお表情筋と声色。いや、あれが人生を表しているのか…? 


417:名無しのぶいオタ

 出溜田の表情筋と声色ってニートなん?友人になれそう 


418:名無しのぶいオタ

 驚いたときとかも目がちょっと開くだけだからな 


419:名無しのぶいオタ

 変化を見た過ぎて検定取得してまうかもしれん 


420:名無しのぶいオタ

 【速報】出溜田、個人勢女性Vとコラボ


421:名無しのぶいオタ

 >>420

 おっ、炎上か?伏線回収やな 


422:名無しのぶいオタ

 相手はエキナセアちゃんか。なら大丈夫そうやな 


423:名無しのぶいオタ

 好きな人がいると公言し続けてユニコーンを潰した女ね

 お陰で視聴者層が… 


424:名無しのぶいオタ

 でもようやく3万とかの出溜田と30万とかのエキちゃんがコラボってなんでやろ

 メリットがあるのか、エキちゃんぶいらいふ!所属の匂わせか 


425:名無しのぶいオタ

 >>424

 匂わせなら有葉とやるだろ。単純に目をつけたか、リペやりたいだけか


426:名無しのぶいオタ

 なんだ、炎上しないのか(溜息) 


427:名無しのぶいオタ

 そろそろ炎上ニウムほしいな 


428:名無しのぶいオタ

 >>427

 エンジョニウムやめろ 


429:名無しのぶいオタ

 品行方正エキちゃんと死人出溜田。組み合わせから考えると妥当…か?


430:名無しのぶいオタ

 >>429

 照野ネキとかテレサちゃんと比べるとマシ


431:名無しのぶいオタ

 >>430

 テレサちゃんは酩酊しなければめちゃくちゃいい子だぞ。酩酊しなければ。


432:名無しのぶいオタ

 ここで名前があがらない岩間草


433:名無しのぶいオタ

 >>432

 あのリア充野郎はいいんだよ 


 


 


 マネージャーから連絡が来た。

 それも、個人勢の方とコラボしてみないかというもの。 


 またコラボか、と思うものの実際メリットは大きいのだろう。

 私からするとコラボ相手とそのリスナーに認知され、知名度は向上するだろう。相手からすると『ぶいらいふ!』という箱に対してのパイプができ、積極的なコラボなどが可能となる。 


 だが、何故私なのか。

 有葉先輩は事務所の顔のような人物であるため、そちらとコラボをしたほうが明らかにメリットは大きい。相手方のチャンネル登録者数も30万と多く、有葉先輩に見劣りするものではない。


 私を当て馬にするつもりなのか、とも考察してみるがそれはない。人気が落ちるだけだ。 私自身に何かを見出したという可能性もないわけではないのだろうが、その確率は低いだろう。 


 相手の意図がわからない。


 炎上商法というわけでもない。

 どうやら相手方の“エキナセア雪”氏はユニコーンが絶滅しているらしく、男性とコラボしても問題がないことで有名であるという。

 といっても照野氏のような”そういった路線”ではなく清楚であるらしい。

 活動時期はまだ短いながらも人気であるのはそのキャラクター性故なのだろう。 


 いくら考えても堂々巡りである。

 父のデータを参照しても全く理解が出来ない。

 


 ――だが、罠というわけではない。騙されているわけではない。ならば大丈夫だろう。

 


 安易な考えだが、こちらには明らかなメリットが存在する。コラボが出来るのならば、するに越したことはない。

 嗚呼、”出溜田弁”のことだというのに考えが引きづられている。

 だが切り替えることは容易である。



 問題はないだろう。


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