第五日目

 体力の衰えを感じ始めた。歩くのも辛くなってきている。放射能の影響だろうか、それとも単なる疲労なのか。


 今日は、かつての繁華街を歩いている。ネオンサインの残骸が道路に散乱し、高層ビルは骨組みだけを晒している。


「ここで、友達と遊んだんだっけ...」


 懐かしさと悲しさが込み上げてくる。しかし、そんな感傷に浸る暇はない。


 突然、人影を見た気がした。


「誰かいるのか?」


 声をかけるが、返事はない。幻覚だったのだろうか。それとも...。不安と期待が入り混じる。


 歩き続けると、地下鉄の入り口を見つけた。好奇心に駆られ、階段を降りていく。そこで驚くべき光景を目にする。


「これは...」


 地下鉄の駅は、小さなコミュニティになっていた。しかし、そこにいたのは人間ではない。放射能の影響で変異した動物たちだ。彼らは協力して生活しているように見える。


「人間がいなくなった後の世界...か」


 複雑な思いを抱えながら、私はその場を離れる。胸のパネルは「残り3日」を示している。

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