第二日目

 朝日が地平線から昇る。しかし、その光は濁っていて、かつての輝きはない。昨日から歩き続け、今はかつての自宅があった場所に立っている。


「ここが……家だったはずだ」


 瓦礫の山を前に、私は立ち尽くす。7年前の記憶が蘇る。家族との団らん、友人との語らい。すべてが過去のものとなってしまった。


「みんな……どこへ行ってしまったんだ?」


 答えはない。ただ、風が瓦礫の間を吹き抜けるだけだ。


 突然、近くの瓦礫の山が崩れ、そこから小さな生き物が飛び出してきた。それは……ネズミ?いや、違う。体が異様に大きく、目は3つある。放射能の影響で突然変異を起こしたのだろう。


「こんな生き物まで……」


 驚きを隠せない私を尻目に、その生き物は素早く別の瓦礫の山へと消えていった。


「この世界は、もう元には戻らないのか」


 そう思いながら、私は歩を進める。胸のパネルには「残り6日」と表示されている。時間は刻一刻と過ぎていく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る