第10話

「まだ復旧しないのかよ……参ったなぁ」



俺は1人、あぜ道に突っ立ったままだった。


どうやって帰ろう。


このままここにいるわけにもいかないし…




そんなことを考えていると、ここからそう離れていないところで、小さな光が動いているのが見えた。



「お!あれは…!」



真っ暗で距離感も何もわからなかったが、思ったよりも近くに民家があるようだった。


チロチロと動く小さな光は、恐らく懐中電灯のものだろう。



(ラッキーー!とりあえず、あの光の方まで行ってみよう。)


10歩ほど歩けば辿り着きそうな距離だったので、慎重に足元を見ながら懐中電灯の光へと近づく。



その懐中電灯は地面を照らすように下向きに光っているので、足元は比較的見えやすかった。



少しずつ近づいていってみると、小さな民家にたどり着いた。


その玄関先で、1人の女の人が懐中電灯を持ちながら何かを探しているようだった。



「あの…すみません……」


俺が近づいてるのに全く気が付かなかった女性に、俺は恐る恐る声をかけた。



その瞬間……




「いやーーーーっ!!!!!」




鼓膜を破かれるような絶叫をし、その女性は持っている懐中電灯をブンブンと振り回す。



「え……あの、すみません…」


「いや!無理!キモいっ!こっち来ないで!!」


「突然驚かせてすみません、でも怪しい者じゃなくて……」


「なんでついてくんの!?キモいんだけど!!!」



女性は涙目になりながら俺に敵意を剥き出しにして暴れている。


「なんだ?どうしたんだ??」



すると玄関の奥から、1人の男性がやってきた。

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