第8話
「あーー……あっちぃ…」
夜。
今日はいつもより、ベタベタと肌に貼り付くような暑さの日だった。
俺はTシャツをパタパタさせ、上半身に風を送って暑さに耐えていた。
(やっぱり湿度の高い日は、夜だとしてもいつもよりタイムが落ちるな…)
そんなことを考えながら今日の自主練を終え、家に帰ろうと歩いていた。
その時……
「あれっ!?」
一瞬にして、近隣の民家や街灯から明かりが消えたのである。
(停電…?まじかよ……)
俺がいるのは、四方を田に囲まれた農道だ。
ただでさえ民家も疎らにあるような土地で、街灯もあるとはいえ申し訳程度にすぐ下の地面を微かに照らす程度のものだ。
そんなところから全ての光を奪ったら、俺に見えるのはただ遠くで雲の隙間から小さく輝く星たちだけ。
(今日に限って月も雲に隠れてるし…)
自然の光すら無いところで、俺は周りの虫の音を聞きながら一人立ち尽くしていた。
(参ったな…家の方向まで歩こうにも、1歩踏み外せば田んぼに落ちる…)
俺は一時的な停電であることを祈って、少しの間そこに留まることにした。
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