第2話 戻りたい衝動との戦い

SNSを断ったことで、私は新たな自由を手に入れたはずでした。しかし、その自由は、簡単には手に入りませんでした。SNSをやめたといっても、その「残像」は毎日のように私を苛んでいました。これが「SNS後遺症」と呼ぶべきものでしょう。やめたはずのSNSが、まるで私の脳に深く刻まれてしまったかのように、ふとした瞬間にその影が現れるのです。


一番厄介なのは、無意識のうちに「戻りたい」と思ってしまうことです。朝起きた瞬間、なんとなくスマホに手が伸び、SNSのアプリを開こうとしてしまう。昼間の休憩中、気がつけばSNSを確認していないことに違和感を感じてしまう。そして、夜眠る前には、「少しだけ呟いてみようかな」という衝動に駆られる。この無意識の行動が、私の意志に反して繰り返されるのです。


SNS後遺症の最も大きな問題は、その誘惑に抗うことの難しさです。認知行動療法などを用いて、どうにかその衝動を抑えようとしても、完全に無くなることはありません。何度も「もうやめたんだ、戻らない」と自分に言い聞かせてはいますが、それでも時折、頭の片隅に「SNSを少しだけ再開してみてもいいんじゃないか」というささやきが聞こえてきます。


なぜここまで戻りたい衝動が強いのでしょうか?それはSNSが、私たちに即座に承認を与えるツールだからです。呟けばすぐに反応が得られる、その「簡単なつながり」が非常に魅力的なのです。しかし、その反面、そのつながりは持続せず、瞬間的な快楽に過ぎません。SNSに戻ってしまえば、再びその瞬間的な満足感に追われる日々が戻ってくるだけです。


私が今、感じているのは、「戻りたい衝動」との戦いです。SNS後遺症の一つの側面として、この衝動がどれだけ根強いかを痛感しています。SNSをやめる決意をした時点では、すべてが解決すると思っていましたが、実際にはその後の戦いが始まったに過ぎませんでした。


私がSNSに戻らない理由は明確です。SNSに戻ってしまえば、私は再び追われる生活に戻り、執筆に集中する時間や心のゆとりを奪われるからです。SNSは一度足を踏み入れると、抜け出すのが非常に難しい世界です。再び戻ることは、自己表現の場としてのSNSに囚われ、真の自由を失うことを意味します。


それでも、毎日のように「少しだけ呟いてみようかな」という誘惑に襲われるのです。私はこの誘惑と戦い続けながら、SNS後遺症を乗り越えなければならないと感じています。


次回の第3話では、この「決して戻らない」という強い決意について、そして、SNS後遺症にどう立ち向かうかについてさらに深く掘り下げていきます。SNSとの関係をどう終わらせるのか、それが私の今後の課題です。

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