他愛もない一日

 朝の6時に目を覚ます。やばい、寝坊した。王都周辺を1周だけして、すぐに制服に着替える。走って3階から地下まで降りていく。今日の食堂のメニューは食パン1枚、コーンスープ、ウインナー2本にスクランブルエッグ、キウイ、といった感じだ。調味料は各自で足していく。部屋が隣の同級生(上級生)のジョー先輩と向かい合って朝食をとる。先輩は2組だけど、謙虚で優しく頼りがいのある先輩だ。


 「最近何か気になることはないか?」


 「はい、ありません。」実をいうとある。ダニエルを負かしてからクラスで浮いているのだ。ダニエルのグループからは目の敵にされ、他のグループは無関心、といった様子だ。ちなみに俺は尊敬できる人にしか敬称をつけないからダニエルなんて呼び捨てだ。それに、俺にはオリビアがいるからさして影響なんてない。食事を終えて俺たちは、三階に上がり、そのまま校舎に入る。ジョー先輩とは訓練場のところでお別れだ。今日は寝坊したせいでオリビアのほうが先に来ていた。


 「オリビア、おはよう」


 「あっ、やっと来たー。待ってたんだからね。おはよう、ジャン」


 うん、かわいい。オリビアさえいれば学校生活なんて毎日がeverydayだ。




「キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン」


 始まりのチャイムが鳴る。今日の魔法では、先取りして聖属性と邪属性の授業をするらしい。ふむふむ。聖属性は回復系統の魔法、あとはバフ、邪属性は、主にデバフといったところか。魔法の根幹の理論はどの属性でも一緒だ。理論上、imaginationさえあれば、どんな魔法でも使えることになる。ちなみに、もうこの二つの属性もマスターしてしまった。いよいよ学院で学ぶことがなくなってきたな。よしよし、これからは聖属性、邪属性の創造魔法を作ることに使用。




 ふぅ。次は昼休みか。オリビアと食堂に行った。


 「オリビア、食堂に行こう。」


 「ええ、そうしましょ。」


 この時オリビアの手を握ることも忘れない。ざまぁ、非リアどもめ、フハハハハ。


 「このステーキおいしいわね。」 


 「うん。俺のも上げようか?」


 「いいよ、そんなの。」


 「いいって、あーん。」


 「ふふっ。おいしい。ありがと!」


 かわいい。オリビアってどこで礼儀作法を身に着けたんだろう。貴族だったりして。ご飯を食べ終えたら次は武術の時間。




 「キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン。」


 今日やることは一人一つ、何かしらの必殺技を作ってほしい。できたものから解散だ。俺はすぐ作れた。この世界では、魔力を使って気配を察知している。そこで、魔力を周囲の魔力密度と同じにして、気配を遮断する技を作った。名前はまだない。オリビアも作り終わったのを見計らって俺たちは一度量に帰る。冒険者ギルドで待ち合わせる。




 ちょうど同じタイミングでギルドにつく。


 「今日はどこ行くの?」


 「カフェに行こう」


 「カフェ!!」


 オリビアはおいしいものと甘いものに目がない。その店は、極上スイーツで有名な店だから彼女も喜ぶだろう。店の名前はオータスという名前だ。オータスにつく。


 「好きなの選んでいいよ。」


 「じゃあ、ミルフィーユにする。」


 「ミルフィーユ二つで。」


 「かしこまりました」


 ミルフィーユが運ばれてくる。これは確かに最高傑作だ。


 「めっちゃおいしい。ありがとうジャン。」


 口元についたクリームを拭いてやった。オリビアがうれしいならそれだけで儲けものだ。


 食べ終えた俺たちは、一緒に学院まで戻り寮に分かれる。


 「バイバイ、オリビア。」


 「楽しかった。ありがとね、ジャン。」


 こうして俺たちの他愛もない1日は終わる。

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