高等1年と初デート?

 今日は高等一年としての初の登校日。学年を上がる際に、オリビアと隣の席にしなければ、学校との全面戦争も辞さないつもりでいるといったので、オリビアが隣であることは確実だろう。高等からは、進級するために期末テストの存在が重視されてくる。ひどい成績の場合は退学になるとか。その点俺は大丈夫。だって俺、最強だから。


 最初のほうの謙虚キャラはどこに行ったのか?分からない。努力はもちろんする。毎日の走り込み、筋トレは欠かしていない。でも、前は少し世界を知らなかった。俺は、だいぶ強いはずだ。なら、オリビアとの時間を大切にしよう。それに、つまんないやつよりも、ふざけすぎた奴のほうがいいしね。といわゆるキャラ変をした。


 


 「おはよう、オリビア。」


 「おはよう。ジャン。また席となりなの?私たち運命なのかもね?」


 俺のほほを冷や汗が伝った。実力行使したことは黙っておこう。オリビアには笑っていてほしいし。よし、あいつらの口封じも込めて、一回ボコるか。教員全員。


 「ジャン。今日授業早く終わるでしょ?」 


 「うん。」 


 「早く終わるよね?」 


 「うん。」


 「鈍感過ぎない?早く終わったら、今日の時間が余るでしょ。」


 「あっ、デートできる。」


 「うん。デートしましょ。」


 俺は震えた。オリビアとの、初・デート。


 「先生。早退します。」


 ユーリは驚きながらも許可してくれた。あれ?脳内に声が響いてくる。「題名が釣りみたいになっちゃうよ。初授業なんだし受けようよ。ねぇー。」懇願したような声が聞こえてくるがそんなの知らない。俺はオリビア最優先だ。ということで、王都を歩いてみよう。


 


 〈オリビアとのー初デートー。〉


 オリビアは女の子だ。女の子の好きな物って何だろう。花?きれいな景色?なんだろう、何かものすごく大切なことを忘れている気がする。不老不死?違う。魔神?違う。そうだ、空間魔法だ。空間魔法なら、転移で好きなところに行けるはずだ。よし、マルローに行くか。父さんと母さんにもオリビアを見てもらおう。いわゆる、おうちデートってやつだ。よし、そうと決まればオリビアに昼休みで早退してもらおう。




 〈昼休み〉


 「オリビア、目をつぶって。今からデート場所に行こう。」


 「ジャン、とっても楽しみ。」


 転移 


 「オリビア、着いたよ。」


 「ここは?」


 「俺の家さ。オリビアにも見てほしいと思って。卒業したら一緒に来るだろ?」


 オリビアは複雑そうな顔をすると、すぐ笑顔に戻って、


 「そうね。楽しみ。」と言った。


 「父さん、母さん、ただいまー。」




 「父さんも母さんもいないですにーに。」


 あれ?俺を出迎えてくれたのはとてもかわいい5歳くらいの女の子だ。一度家をでる。テイク2、「父さん、母さん、ただいまー。」


 「また女を連れてきたですかにーに。遊ぶのもたいがいですよ。にーに。」


 後ろからブ〇ック顔負けの黄泉の冷気を放つオリビアを刺激しないようにして聞いた。


 「おまえは誰だ?」


 「にーにの妹ですに。忘れたのれすか?ぷんすかですに。」


 待ってくれ。誰だこの子は。頼む、頼むから、きょう一日は、地雷を落とすのはやめましょう。もう俺の周りに地雷の水たまりができちゃうよ。「おうちデートしようと思っただけなのに、」劇場版が公開されそうなレベルで、オリビアのまとう空気が重くなっていく。そりゃそうだ。変な所に連れてこられたと思ったら、その男の家で、その男は女遊びにふけっていて、挙句の果てに妹の顔すら覚えていないなんて。ただのクズ男、Mr.クズ男。坂本〇人レベルだぞ?どう挽回したものか。父さん、母さん。


 「ただいまーアン。あれージャッジちゃんいるの?」


 「おかえり、ジャッジ。学校は順調か。」


 とてもいいタイミングで父さんと母さんが帰ってきた。よし、この空気を一変させられるぞー。


 「父さん、母さん。この子誰?」


 「「あなたの妹よ。」」




 オリビアのまとう空気が言葉でいうのもはばかられるぐらい、ヴォ〇デモートレベルになった。俺の初デートは終わりだ。成り行きで、オリビアと夕食を共にすることになったが、どうしたものか。




 「母さん、父さん、こんな子うちにいなかったじゃないか。」


 「実はね。」


 なんだなんだ?


 「お父さんのチン〇がアレになっちゃって、子供ができなくなってね。里親になったのよ。」


 「でもなージャッジ俺も昔は通天閣だったんだぞ。」


 いや、そこは東京タワーじゃねぇのかよ、じゃなくて、なんでいきなり生々しい話するかなー。オリビアが赤面しちゃってるじゃん。そんなオリビアも、じゃねえよ。渋谷す〇るかお前は。まぁ、これで誤解も解けたしいいか。そのあと俺たちは他愛もない話を楽しんで帰路に就いた。俺とオリビアは明日も学校なので、転移テレポートで寮に戻った。


 「ありがとうジャン。初デート楽しかったわ。」


 「ありがとうオリビア。また明日。」


 そういって俺たちは別れた。なんやかんやあったけど、楽しかったしいっか。オリビアに結婚とか言ったけど、本当にできるかな?そんな男になれるように努力しよう。

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