初めての王都

ガタゴトガタゴト。馬車の音につられて意識が覚醒していく。「あれ、ここは?」




 「いいところで起きやしたね。お客さん、そろそろ起こそうと思ってたところなんですよ。」




 右を見ても人、左を見ても人、都市に入る門に並ぶ人、そうか、ここが王都ゴルゴンか。




 「ここまででおろしてもらっていいですか?長旅ありがとうございました。」




 俺は金貨2枚を御者に渡して馬車を降りた。




 「あいよっ、まいどあり。気をつけてな。」という言葉とともに馬車は遠ざかっていった。




 辺境の地マルローから王都ゴルゴンまでは馬車で移動した。王都での生活金金貨100枚を携えて俺はコロニーを出た。そのころ日は昇ろうとしていた。早朝に出立した。今、まさに日が昇ろうとしている。約一日かかったのだろう。この世界でのお金は金貨、銀貨、銅貨の3つで成り立っている。日本円換算すると、金貨=10000円、銀貨=1000円、銅貨=100円といったところだ。とりあえず検問所に並ぶか。




 「どこから来た?王都で何をしようと思ってここに来た?」尋問口調だったので少しひるんだ。だが、黙っては怪しまれると思い、俺は流暢に答えた。




 「僕は、辺境の地マルローから来ました。ゴルゴン英雄学院を受験しに来ました。」




 すると、さっきの衛兵は秋ほどまでの態度が嘘だったかのように、「そうか、マルローから、その年でそこまでの強さなのか。私も昔は冒険者でね、ゴルゴン英雄学院を目指していいたものさ。君も頑張ってんね!」




 とてもいい人に会ったと上機嫌になりながら、王都へと足を踏み入れた。冒険者ギルドは、白い塔に大きな時計がトレードマークの小ぎれいなアパートのような様相の建物だ。僕は冒険者ギルドに足を踏み入れると、冒険者カードを作ってもらおうと受付のお姉さんのところへ行った。」




 「冒険者カードを作りに来ましたか?」




 「はい。」




 「それじゃあ、名前と出身地、それから年齢を教えてもらってもいい?」




 「はい。マルローから来ましたジャッジです。今年10歳になりました。




 「よし、礼儀正しいマルロー君ね、覚えたわ。依頼を受けるときは私のところへ来てね。」




 「はい、わかりました。」




 「それじゃあこれ、冒険者カードね。なくさないように気を付けてね。あ、そうだ。私の名前はレナよろしくね。」




 「ありがとうございました。」そう言って俺は冒険者ギルドを出た。レナさんは赤い紙がよく似合う褐色肌の美人だ。すぐ出てきたのは周りの冒険者に絡まれそうだったからというのが理由だ。冒険者カードは、銀色にコーティングされていて、名前、出身地、ランク、右端にEランクと小さく書かれただけの簡素なものだ。でも、俺にはこのカードを手に入れたことが何よりもうれしく感じられた。冒険者のランクは下から、E、D、C、B、A、Sと上がっていくらしい。中でも現役Sランク冒険者は、枯大陸に1人、魔人大陸に3人、亜人大陸に2人、人間大陸に4人の合計10人しかいないらしいから、俺の両親は相当だ。俺もそうなれるよう頑張りたいところだ。試しに一つ依頼を受けてみよう。自分のランク上下1つまでは受けられるらしいから、Dランクのコボルト討伐、依頼主ギルドという張り紙をもってレナさんの所へ行った。




 「レナさん、この依頼を受けてもいいですか?」




 「駄目だよそんなの。ジャッジ君に危ないことなんてさせられるわけないじゃない。犬の散歩依頼主、マリアード夫人 報酬金貨1枚のやつがあるからそれを受けといてね。」




 「は、はい。わかりました。」レナちゃんの言葉に逆らうなみたいなムードの中意見できるはずもなく、俺は押し切られてしまった。まぁ、そうと決まれば散歩に精を出そう。俺は意気揚々とマリアード夫人の家に行く。




 「犬の散歩の依頼を受けに来ました。冒険者のジャッジです。マリアード夫人はいらっしゃいますか?」




 「はい。どうぞお入りください。」




 「私のセバスの散歩をしてくれるっていうのはあなた?」




 「はい、そうですが?」




 「セバスは10キロ以上は知らないと気が済まないのよ。せいぜい頑張ってね。」




 「はい、頑張らせていただきます。」








 「セバス、ついてこい。」




 「ワンワオンワンワン」




 ふぅー久しぶりに走ると疲れるなぁ。「マリアード夫人散歩終わりましたのでハンコを押していただけますか?」




 「本当に10キロも?すごいわね。またお願いね。」こうして人生初の依頼は終わった。俺はこのほかにもたくさんの依頼を受けた。ゴルゴン英雄学院の受験の前日までに俺はCランクまで上がっていた。


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