努力家

「ばーぶぅばーぶばーぶ。」俺は生まれた。これが転生ってやつか。赤ん坊の体ってのは動きにくいもんなんだな。目の前には二人の男女がいる。


 「おぉーアンナ目を覚ましたぞ。かわいいなぁ。」


 「そうねーあなた。」 


 目算だとどちらも20歳程度に見える。これが俺の両親か。この世界での結婚適齢期は何歳なんだろう。そんなことはおいておいて、とりあえずステータスを見てみよう。「ステータス、オープン。」人生初ステータスだ。楽しみだなー。


 体力・0


 筋力・0


 魔力・0


 魔法防御力・0


 魔法攻撃力・0


 敏捷・0


 精神力・0


 ユニークスキル・【ステータスポイント分配】


 ステータスポイント500


 レベル1 個体名、ジャッジ




 「うーん。何とも言い難いけどレベル1ごとにどれだけのポイントがもらえるかによって価値が変わってくる。筋力が攻撃力に相当するらしいし、うーん。いったんおいておこう。年齢が上がるごとにポイントがもらえるって言ってたしな。」


 「あなた、この子の名前どうするー?」


 「そうだなーアーロン。と見せかけてジャッジとかどうだ?ほら見ろ。ジャッジも驚いた顔してるぞー?ぱぱでちゅよー。」


 「うん、ステータスにネタバレされてたわ。ごめん。てか絶対この名前、絶対某有名野球選手から来てるだろ。まあかっこいいしいいけどさー。「楽天の安〇からとって、アンラクだ。」とか言われてたら発狂してるとこだった。ステータスについては分からないことも多いし、とりあえず1歳になるまで様子を見よう。」




 〈1年後〉


 やばい、まだ父さんの名前がわからん。母さんもあなた以外の呼び方ないの?ずっとそれなの?あなたbotですか?いや、いい。ま、そんなことはおいておいて、ステータスでも見よう。」「ステータス、オープン。」


体力・0


 筋力・0


 魔力・0


 魔法防御力・0


 魔法攻撃力・0


 敏捷・0


 精神力・0


 ユニークスキル・【ステータスポイント分配】


 ステータスポイント550


 レベル1 個体名、ジャッジ




 あれ?50増えてるな。今日が俺の誕生日だから、一歳ごとに50ポイントもらえるのか。500って10歳分か。結構大事だなー。おいておいてよかった。まだおいておこう。5歳になったら職業鑑定とともに、マルローの森に行くのが許可される。それまで待とう。




 〈2歳4か月〉


 父さんの名前がわかった。トモヒロっていうらしい。某安〇さんとかぶってるなぁー。




 〈5歳〉


 ちなみに今のステータスポイント表


体力・0


 筋力・0


 魔力・0


 魔法防御力・0


 魔法攻撃力・0


 敏捷・0


 精神力・0


 ユニークスキル・【ステータスポイント分配】


 ステータスポイント750


 レベル1 個体名、ジャッジ




 今から、父さんと職業鑑定に行ってくる。職業鑑定の列に並んだ。真ん中にある水晶に手を触れると適正職業がわかるらしい。順番が近づいてきた。「武闘家、剣闘士、聖騎士etc.」聖騎士の家族が泣きながら喜んでいる。上級職ってやつか。俺は、竜騎士がいいな。


 脳裏に一つの単語が浮かび上がる。慌ててかき消す。だってこれは職業じゃないから。消すたびに浮かび上がってくる。俺はもう観念した。認めるしかない。俺の職業は「努力家」だと。




 「マイナーな職業だったけど気にすんな。俺たちはお前の味方だから。」父さんがやさしく声をかけてくる。そんな気遣いにいたたまれなくなりながら、帰路につく。俺は今、下級職だと思われてマルローの森に入れなくなるのでは?と案じている。まぁ、家族そろっての夕食の時間に切り出してみるか。




 (夕食の時間)


 「父さん、母さん、俺明日からマルローの森に入ろうと思うんだけど、いい?」


 「いいわけないじゃない。下級職だったんでしょ?ジャッジちゃんが魔物に襲われでもしたら、私たちいきていけなi


 「いいじゃないか。それが男の夢ってもんだろう?男の夢に口は出しちゃいかん。見守るしかできないんだよ。アンナ。」


 父さんかっけぇー。俺もこんな男になりたいところだ。


 「でも、トモヒロもし万が一のことがジャッジちゃんに合ったら。私、」


 「大丈夫だアンナ。もう一人作ればいい。念のため今日の夜から作ろう。」


 いきなり来た生々しい話ー。こいつなんもかっこよくねぇわ。ただのゴリラだ。うん、いやゴリラに失礼かもしれない。クズだよクズ。俺の感動を返してくれ。母さんもそう思うだr


 「ええ。そうしましょ。さすがトモヒロ。最高の夫よ。」


 「アンナ。」


 なんだよこの茶番。失せろリア充。俺はかぶせる。「明日から言っていいんだよね?」


 「「ああ(ええ)。」」よし、実力をつけて早くこんな家からおさらばだ。




 〈次の日〉


 「頑張ってこいよジャッジ。お前の武器だ。鍛冶屋で買っておいた。命が一番だからな。それだけは忘れるなよ。」


 「ジャッジちゃん。頑張ってきてね。」


 この二人はなんやかんやでいい両親なのだ。その二人の思いを無下にするわけにはいかない。命優先で頑張りますか。


 森に入って1時間。魔物はからっきし。この森魔物いるのか?あ、前にコボルトが6匹。4匹倒して2匹を巣まで追っていくか。我ながらクズみたいな作戦だ。後ろから4体の首を落とす。2体は蜘蛛の子を散らすように逃げていく。追っていこう。「コボルトを4体倒しました。レベルが2上がりました。」


 体力・0


 筋力・0


 魔力・0


 魔法防御力・0


 魔法攻撃力・0


 敏捷・0


 精神力・0


 ユニークスキル・【ステータスポイント分配】


 ステータスポイント810


 レベル3 個体名、ジャッジ


 職業・努力家


 


 ふむふむ。1レベル上がるごとに、20ポイントもらえるのか。これがわかったらあとは魔物を殺しつくすだけだ。10分歩くと、巣穴が見えてきた。コボルトがいる。30体くらい。どうしようか、810あるから、敏捷、筋力に300ずつ。体力に200振ってみよう。


 体力・200


 筋力・300


 魔力・0


 魔法防御力・0


 魔法攻撃力・0


 敏捷・300


 精神力・0


 ユニークスキル・【ステータスポイント分配】


 ステータスポイント10


 レベル3 個体名、ジャッジ


 職業・努力家


 よしよし。じゃあ殺しつくすとしようか。


 あっさりと戦闘が終わる。


「コボルトを30体、コボルトロードを1体倒しました。レベルが12上がります。」


体力・200


 筋力・300


 魔力・0


 魔法防御力・0


 魔法攻撃力・0


 敏捷・300


 精神力・0


 ユニークスキル・【ステータスポイント分配】


 ステータスポイント250


 レベル15 個体名、ジャッジ


 職業・努力家


うーん。250は貯めるとしようか。それより問題なのは、戦闘中にレベルが上がるのかという話だ。まぁいつか分かるだろ。コボルトを殲滅レベルで殺しまくり、その日はさらに20レベルが上がった。


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