第14話 1番好きなアニメ〜攻殻機動隊〜
今や大人も子供もアニメを観ている時代。
観ても見切れないほどたくさんの作品があります。
その中で、皆さんは一番好きなアニメってありますか?
中々、順番なんて決められませんよね。
決めたところで更新もされますし。
しかし、私には不動の一位が存在します。
それは『攻殻機動隊』です。
今さら私如きが説明するまでもない、日本が世界に誇る名作中の名作SFアニメです。
現作は士郎正宗による漫画で、1989年から1990年にかけてヤングマガジン海賊版にて連載され、1991年に単行本が発売されました。
こちらの作品。
しっかり語るとなると、かなりのボリュームになってしまいます。
というのも、アニメといっても各テレビシリーズと各劇場版でそれぞれの特徴があり、ひとまとめで語れないのです。
ですので、個人的に特に印象に残った部分を切り出して語らせていただきますので、あらかじめご了承くださいませ。
なぜそういうやり方をするのか?
他にも方法がある?
はい。答えは簡単です。
私のゴーストが
失礼しました。
それでは参りましょう。
『攻殻機動隊』の数あるエピソードの中で、私にとって非常に印象的なエピソードがあります。
それはテレビアニメ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』の第一シリーズの第十二話『タチコマの家出 映画監督の夢 ESCAPE FROM』です。
このエピソードでは、次のような事件を扱います。
(※ここからはネタバレを含みますのでお気をつけください)
売れないままで亡くなってしまった無名の映画監督が遺した、電脳化された「脳核」がコピーされ、闇市で出回る。その脳核にアクセスした人が、アクセスしたまま現実に帰って来なくなってしまう......。
上記の事件に、公安9課の「少佐」こと草薙素子が捜査へ乗り出します。
そして、危険とは知りつつも、彼女も「脳核」にアクセスするのですが......。
辿り着いたのは映画館。
そこでは、ただ映画が上映されているだけでした。
素子も席に着き、映画を鑑賞します。
すると意外なことが起こります。
なんと観終わった後、彼女は感動の涙を流してしまうのです。
それはどんな映画だったのか?
見たことも聞いたこともない映画です。
当然です。
それは無名のままで終わってしまった映画監督が残した、日の目を見ることなく終わってしまった映画だったからです。
素子は席を立ち、映画館を出ていこうとしますが、おかしなことに気づきます。
他の観客が出ていこうとしないのです。
そう。
彼らこそ、アクセスしたまま帰ってこなくなってしまった人々だったのです。
素子は彼らを帰そうとしますが、そこへ一人の男が現れて止めようとします。
その男とは、映画監督本人でした。
彼はなぜ止めるのでしょうか?
彼の理屈はこうです。
彼らには戻りたくない現実が待っている。ここは夢の空間なんだ。
それからいくつかのやり取りの後、素子が言います。
夢は現実の中で闘って見ていくものだと。
(改めてセリフを細かくチェックしたわけではないので相違はあると思いますが、趣旨は伝わるはずです。円盤を持っているのでチェックできるんですけどね...笑)
さて、あらすじ紹介が長くなってしまいましたが......(タチコマと少女の話は割愛)
ここからは私のゴーストが囁かせていただきます。
私はこのエピソード。
非常に示唆に富んでいるなぁと思います。
理想と現実。
夢と現実。
理想や夢を見ることと現実を受け止めること。
それは時に反発し合い、当人を苦しめます。
現実でしっかりと地に足をつけながら理想と夢を持って生きること。
それは時に難しく、皆が継続できることでもありません。
このような煩悶は、とりわけクリエイターにとって切っても切れない宿命のような、普遍的な問題に思われます。
少なくとも私はそう思いました。
どんなに夢や理想を描こうと、結局は独りよがりなんじゃないか。
自分には崇高に思えても、他人から見れば
実際、自分は狂ってしまっているのではないか。
いや、狂っているならまだいい。
狂うことすらできない、ただ情けなくて下らない人間なだけじゃないか。
そういう不安が鉛のように心に深く沈んでいくことがあります。
昔、太宰治の『彼は昔の彼ならず』という短編を読んで、私はひどく落ち込んだことがありました。
その時に思ったことがまさにこれだったんです。
自分なんて所詮、現実から逃げているだけの口だけの下らない人間なんだと。
そして......。
私は『タチコマの家出 映画監督の夢 ESCAPE FROM』を観て、先の太宰の小説を思い出しました。
全然違う話なんですが、自分の中で繋がったのです。
でも、今度は落ち込みではありませんでした。
なぜか私の心は、ふっと軽くなったのです。
何がどうとかハッキリしたことはわかりません。
ただ、自分の中でひとつの答えが出たような気がしたんです。
夢は現実の中で闘って見ていこうと。
ごくごく当たり前のことですが、人間とは、とかくそんなものではないでしょうか。
そんな私も、今ではこのような事で悩むことはなくなりました。
単に鈍くなっただけかもしれませんが(笑)。
ただ、今回取り上げた攻殻のエピソードにせよ、太宰にせよ、個人的にはフィクションで片付けられないものがあるんですよね。
私はこれを『クリエイターの成れの果て問題』と名づけてきます(笑)。
この問題については(また違う角度からですが)北野武監督の『アキレスと亀』や、芥川龍之介の『地獄変』からも、私の心に訴えてくるモノがあります。
最後に......。
攻殻機動隊については、まだまだ語っても語りきれないことがたくさんあります。
それこそ物語だけでなく、菅野よう子が手がける音楽なども本当に素晴らしいです。
また、先ほど太宰を持ち出しましたが、攻殻で文学といえばサリンジャーは避けて通れません。
どんどん話が広がって尽きないんです。
ですが、そろそろ締めたいと思います。
なぜなら私のゴーストが囁くからです。
もう終われと。
語りの続きを知りたい方は、私の電脳ハブにアクセスしてください。
並列化しますので(ニヤリ)。
失礼しました。
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