第9話 人間関係ボタン《解説編》

 メイ「失ってはいけないって関係ってなんだろ?」

 

ヤカタ「それはね、自分自身との関係よ」


 メイ「え? どういうこと? だって『人間関係ボタン』は立花ちゃんに対して使ったんだよ?」

 

ヤカタ「ねえメイ、『人間関係ボタン』の発動条件を思い出して」


 メイ「相手の顔を見ながらボタンを押すこと、でしょ? 美音ちゃんはちゃんと、立花ちゃんの顔を見たじゃん」

 

ヤカタ「見すぎたのよ。美音さんは、立花さんの顔をじっと見たわ。立花さんの瞳に、《自分の顔が映っていることに気づくくらい》、じっとね」


 メイ「あっ! まさか!」

 

ヤカタ「そう。美音さんは、瞳に映った自分の顔を見ながらボタンを押してしまったの。『人間関係ボタン』は、テレビの画面越しでも発動する。瞳に映った顔でも、もちろん発動するわ」

 

メイ「じゃあ、美音ちゃんは自分に対して、自分自身――押田美音と無関係になれって言ってしまったんだね……」

 

ヤカタ「美音さんは、もう人間関係のことで悩むことはないわね。美音さんにとって、美音さんはどうでもいい存在になったのだから」


 メイ「うわぁ……どうにかならない?」

 

ヤカタ「なるわよ? いくらでも。私のすばらしいアイテムによって」


 メイ「じゃ、人間関係ボタンを回収するときに、どうにかしてあげようよっ」


ヤカタ「ふうん? ま、いいんじゃないかしら? どうでも」


 メイ「どうでもって」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る