〈5話〉魔王との密談①



「率直に言うとね、私は君をそんなに悪いやつだとは思っていないんだ」


「でも、元はあの植木鉢であなたを殺るつもりでした」


「確かに、君は聴取でもそう言ったらしいな。だがそれは別に私に恨みがあるとかそう言った理由ではないだろう?」


「それはそうですけど、、」


「きっと君も色々と大変な思いをしていたのだろう。それなのに1週間もタルタヘイムに収容してしまって申し訳ない」


やめて、なんか今優しくされると泣いちゃいそうだから。


ん、でも魔王はザリアなのだから、俺の処遇の最終決定権は持ってるはずだ。


「魔王様の、、」


「ザリアでいい」


「ザリア様の権限で俺を釈放できたりとかはしないですかね?」


「ああそうか、君はこの世界について何も分からないと言っていたようだな。ではまずこの世界の構成について軽く説明しよう」


ザリアはそう言うとスタイリッシュで背面が長いコートのポケットから1枚のカードを取り出し、空中に投げた。宙に舞ったカードはサイズが拡張されそこに浮かび、地図のような物が映し出される。


「今、私達がいるこの大陸が魔界と人界の境界に面するバーナス大陸だ。魔界には他にも大陸が幾つかあって、それぞれに統治者として魔王が存在している」


なるほど魔王は1人じゃないのか。


「現在、魔王は9人存在している。その中でも序列があり、私は第3位の席に着いている。魔界にとって重要な事はこの9人が集まり協議を重ねた上で決定される。今回、私の独断で君を釈放できないのはそのためだ」


「魔王様が集まる会議で俺の事が協議されてるんですか?」


「当たり前だ。君はまだよく分かっていないと思うが、あの勇者を葬ったんだ。このことは魔界の今後に大きく影響を及ぼす」


「そんなに厄介な勇者だったんですか?」


「いつの世代も勇者は厄介だったが、今回のは異常だった」


ザリアは宙に浮かべたカードをポケットに戻し話を続ける。

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