第2章 アップルの森編 第2話 森の入り口

エルン、バルボ、サラの3人は村を出発し、「アップルの森」へと辿り着いた。


彼らの手にある地図は村と森の大まかな位置だけが描かれており、森の中の詳細な道筋は全く記されていなかった。


「森の中の地図がないのか……。」エルンは地図をじっと見つめながらつぶやいた。


サラが横からのぞき込む。

「そうね、森の入り口まではわかるけど、奥までは何も書かれていないわ。」


「でも道沿いに進めば、なんとかなるんじゃないか?」バルボが自信ありげに言う。


「そうかもしれないね。」エルンは頷き、前を向き直った。


アップルの森は村の人々にとってなじみの深い場所だった。


特に果物狩りや山菜採りが盛んな場所で、村の子どもたちも浅い部分にはよく足を運んでいた。


しかし、森の奥に進むことはほとんどなかった。


冒険心に駆られた3人は、今回初めて奥深くまで進んでみることに決めていた。


森の入り口に着いたとき、風が木々を揺らす音が静かに響いていた。


サラが少し微笑みながら言う。

「ここまではいつも来てた場所だよね。でも、今回はもっと奥まで行くんだよね。」


バルボが胸を張って答える。「もちろんだ!ただの果物狩りじゃない。これは冒険だ!」


3人は森の入り口に立ち、奥へと続く細い道を見つめた。


道は細く、ところどころに木の枝が伸びていて、これまでの経験とは違う何かが待ち構えているような不思議な感覚を覚えた。


「じゃあ、行こうか。」エルンが一歩前に踏み出し、バルボとサラもそれに続いた。


道に沿って歩く中、エルンは手帳を取り出し、サラがくれた新しい手帳の最初のページに何を書き込もうか考え始めた。


森の中の景色は、今までとは違って見えた。


大冒険の始まりに心が躍り、エルンの好奇心が特別な光景を見せていたのかもしれない。


「この森には、きっと何か面白い発見があるに違いない……。」そう思いながら、エルンは手帳を閉じ、前方の道に集中した。


すると、その時、サラがふと周りを見渡し、目を輝かせた。

「見て!あの木、リンゴがたくさんなってるわ!」

サラが指差した方向には、真っ赤なリンゴが鈴なりになっている木が立っていた。


「これがアップルの森の名前の由来なんだよね…」エルンも感心しながらその木に近づいた。


このリンゴの木は森の浅い部分にあり、村でよく売られているが、3人にとっては新たな発見として映った。


「さっそく記録しよう!」エルンは新しい手帳を取り出し、サラがくれたペンでリンゴの木について書き加えた。


サラも手を貸して、リンゴの形や色、大きさについて丁寧に説明を加える。


3人はそれぞれ意見を出し合い、リンゴの情報を手帳に書き記した。


[アップルの森の情報1]

アップルの森のリンゴ

• 名前: スターアップル、星屑リンゴ

• 見た目: 赤くて小さいリンゴ。金色の模様があるけど、よく見ると星やぐるぐる模様になってる。とってもキレイ。

• 味: 甘くてちょっとすっぱいけど、めちゃくちゃ美味しい!かじると少しひんやりして、スッキリする感じがする。

• 匂い: かすかに柑橘のにおいがする。これをかぐと、なんだか元気になる気がする。

• すごいところ:

1. 元気になる: 食べると疲れが取れて、少し元気になる感じ。

2. 集中できる: 少しだけど、物を書くときとかに集中しやすくなる気がする。

3. リフレッシュする: 特に果汁は飲むと体がひんやりして、元気になる。

• どこで取れる?: アップルの森の浅い所で見つけた。木にはたくさん実がなってるけど、気温が高いと育たないみたい。

• 伝説: 昔の冒険者たちは、このリンゴをお守りみたいにして、遠くへ旅に出たらしい。リンゴの木に触ると、無事に帰ってこれるって話もあるみたいだ。(村の言い伝え)


[後に改善されたもの]

アップルの森のリンゴ

• 名前: 星屑林檎 (star apple)

• 外見: 通常のリンゴよりやや小ぶりで、皮は鮮やかな赤色に金色の模様が浮かび上がるのが特徴。熟すと模様が星形や渦巻き模様になる。

• 味: 一口かじると、甘みと酸味が絶妙に調和しており、ジューシーで非常にフレッシュ。さらに、噛んだ瞬間にわずかに冷たい感覚が口に広がり、体全体がリフレッシュされる。

• 香り: ほんのりとしたシトラス系の香りが漂い、風に乗って香ると森全体がフルーティーな空気に包まれる。リンゴの木の周辺では常に爽やかな香りが感じられる。

• 特殊効果:

1. 体力回復: 食べると一時的に疲労感が軽減される。

2. 集中力向上: 小さな一口でも、短時間の集中力を高める効果があり、書き物や細かい作業の効率が上がるといわれている。

3. 身体のリフレッシュ: 特に星屑林檎の果汁は、ほんの少しでも体をリフレッシュし、冷たい風を浴びたような心地よさを与える。

• 栽培環境: アップルの森の特定のエリアにしか生えないと言われており、特定の気候条件が必要。日差しが柔らかく、湿度が一定以上の場所でのみ育つ。

• 伝説: このリンゴは、昔の冒険家たちが食料として重宝していたとされ、特に長旅に出る前には必ず手に入れておくべき果物とされていた。リンゴの木に触れると、その冒険者の旅が安全に進むと言われる伝説もある。


「これが初めての発見だな!」バルボは楽しそうにリンゴの一つを手に取り、かじってみた。「おいしい!」

3人は手帳にリンゴの情報を書き込みながら、次は森の奥へと足を進めていくことにした。

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