第二章 アップルの森編

第二章アップルの森編 第一話最初の目的地

村の広場に朝日が差し込む中、エルン、バルボ、サラの三人は冒険の出発を待っていた。


エルンはサラからもらった新しい手帳を大切に抱えながら、少し緊張した様子で立っていた。


父から受け取った手帳を失ってしまったが、この新しい手帳と共に、新たな冒険のページを刻んでいこうと決意していた。


広場には、彼らの家族が集まっていた。


エルンの父親は車椅子に座り、静かに微笑みながら息子を見つめている。


バルボの両親も、少し緊張しながらも誇らしげな表情で立っていた。


彼らにとっても、息子がこの旅に出ることは大きな変化だった。


サラの両親も研究所の仕事を少し離れ、娘の門出を見守っていた。


彼女の両親は娘が成長し、新たな知識を得ることを誇りに思っていた。


三人は見送りに来ている家族以外には誰もいなかったが、そんなことは気にしていなかった。


エルンは少し前を見つめ、「さあ、行こうか」と呟いた。バルボがうなずき、サラは微笑みながら二人に続いた。




「まず、最初の目的地はアップルの森だね。」


エルンは村で手に入れたこの村の周辺の地図を広げ、最も近くにある小さな森を指さした。


その森は村の人々がよく果物を採りに訪れる場所で、子供たちも遊びに行くことがある。


しかし、子供たちはその浅い部分しか知らず、森の奥にはどんな秘密があるのか誰も知らなかった。


「森の奥に行ってみるのはどう?」サラが提案した。

「ただの遊び場じゃないかもしれないし、何か面白いものが見つかるかも!」


バルボも同意した。「そうだな、ただの果物取りじゃつまらない。冒険にふさわしい場所を探そう。」


エルンは少し悩んだが、最初の一歩を踏み出すことに決めた。「よし、行こう!」


三人は歩き出した。




アップルの森までは村から一時間の距離だった。


道中、サラはバルボに向かって「バルボ、冒険の準備は大丈夫?ちゃんと全部持ってきた?」と尋ねた。


バルボは少し照れくさそうに頷きながら、「食べ物と水、ちゃんと持ってきたよ。でも、地図を持ってるのはエルンだから道案内はエルンに任せるしかないな」と答えた。


「地図は任せて!」エルンは胸を張って答えたが、実は少し不安だった。彼はまだ冒険初心者で、サラやバルボにちゃんと導けるのか心配だったのだ。


森が見え始めたころ、サラが嬉しそうに言った。「ここがアップルの森!村の浅い部分には何度も来たことあるけど、もっと奥に行くとなるとドキドキするね!」


エルン、バルボ、サラの三人はそのまま森の入り口へと進み、これからどんな冒険が待っているのか胸を高鳴らせた。


森の奥には何があるのか。ただ普通の木々なのか、それとも今まで見たことのない大発見か。


ただ一つ確かなことは、この一歩が三人の新たな冒険の始まりだということだった。

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