第1章 3人の決意 第3話 サラの冒険心

エルンとバルボは、お互いの両親からお駄賃を受け取り、冒険の準備を整えるために街に買い物に来ていた。


「君たちにあげれるのはこれだけだよ。よく考えて道具を調達するんだ。


「お菓子なんか買ったらだめだぞ!」


厳重に注意された言葉が2人の頭をよぎる。


しかし、「分かった!」と元気よく家を出て行った2人は何が必要なのか全くわからず、お互いに困った顔をしていた。


その時、サラが通りかかった。


彼女は2人に気づき、少し警戒しながら近づいてきた。


「エルン! …とバルボ…?何してるの?」


「サラ!実は、冒険に出る準備をしているんだ。でも、何を買えばいいのか分からなくて……。」


エルンは事情を説明した。


サラはバルボをちらりと見て、心の中で少し警戒した。


彼がまたエルンをいじめるのではないかと心配になったが、エルンがバルボを友達として紹介したことを思い出し、警戒心を少し緩めた。


「そうなんだ。それなら、私が手伝ってあげる!」


サラはテキパキと必要なものを口頭で伝え始めた。


「まず、食料や水、それから地図やコンパス、応急処置キットも必要ね。野宿するかもしれないからテントや寝袋も!あとはあとは…」


サラは息を切らさず淡々とリストを作成する。


「あと私も一緒に行くから、バックパックも1つ追加ね!」


彼女の言葉には、冒険へのワクワク感が溢れていた。


「え、君も一緒に?」とエルンが驚くと、バルボも興味津々で聞いていた。


サラは無邪気に続けた。


「私がいれば、楽しい冒険になるよ!それに、私の両親は学者だから、いろんな知識を持ってるの。それにいつも家に1人ぼっちだからつまらなくて。だから私も冒険がしたくてたまらなかったんだ。」


エルンとバルボは嬉しそうに顔を見合わせたが、エルンは少し考え込みながら言った。


「でも、よく考えたほうがいいかも……。」


「そっか…」


サラはその言葉を誤解し、「私、断られたのかな……」と悲しげな表情で家に帰ってしまった。


サラの家は相変わらず真っ暗で、今日の料理や掃除、洗濯も全て1人でこなさなければならなかった。


しかしこれは彼女にとって当たり前のこと。


しばらくしたら両親は帰ってきたらたくさん話を聞いてくれて遊んでくれる。


この数日だけ我慢すればいいだけのこと。


夕食を食べる前に、ドアが叩かれた。


出てみると、エルンとバルボが立っていた。


「サラ、元気?」とエルンが尋ねると、バルボも頷いた。


「君の両親のことをエルンのお父さんから聞いたんだ。それで寂しがってるんじゃないかと思ってね。」


3人はそのまま家に入り、冒険の話をたくさんした。


サラの家の中で、冒険の計画を語り合いながら、エルンは思い描く理想の冒険について話した。


「海を渡って、未知の島に行って、そこで新しいモンスターや植物を見つけるんだ。」


「それに、すごく高い山に登ったり、深い森の中で探検したりするのもいいな!」


バルボも興奮して意見を加えた。


サラは、彼らの話を聞いているうちに、自分も本当に冒険に出たくなってきた。


「私、本当に冒険がしたい!」とサラが興奮気味に言うがすぐに暗い顔になり「ダメかな…」とつぶやく。


エルンとバルボも嬉しそうに肯定する。


「サラも来てくれたらとっても嬉しいよ。でも、まずは両親に話をしないと……。」


サラは決意を固め、家から遠い村の外れにある研究所に向かった。


研究所に着くと、サラは両親に事情を話し始めた。


「パパ、ママ、私、冒険に出たい!エルンとバルボと一緒に行くんだ!」


両親は真剣に娘の話を聞き、彼女の情熱に心を打たれた。


最後にサラは少し悲しそうに言った。


「パパとママの夢を叶えられなくてごめんね。もっと勉強しないといけないのに」


しかし、両親は優しく微笑んで言った。


「自分の目で見て、耳で聞いて、鼻で嗅いで、舌で味わって、肌で触れて。実際に体験することが1番の勉強だよ。」


「自分の目指したい道を目指す、そんなあなたが私たちの誇りよ。」


両親は、サラを研究所の他の学者たちに紹介し、「私たちの誇らしい娘です。彼女は冒険に出て、多くのことを学び、成長するでしょう。」と言った。


研究所にいるみんなもその言葉を聞いて拍手を送った。


サラはその言葉を聞いて、嬉しくて涙が出てきた。


「ありがとう!頑張るよ!」


こうして、サラはエルンとバルボと共に冒険の仲間として旅立つ準備を整え、3人は新たな冒険へと向かうことになった。


「あ、そうだ!お父さんお母さん。私欲しいものがあるの。手帳なんだけど…。」

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