第一章 三人の決意

第一章 三人の決意 第一話 エルンの誓い

村の広場には、学校の卒業生たちが集まっていた。


今日は12歳の卒業式、そしてそれぞれがこれから進む道を発表する日だ。


エルンはその中に立ち、父から受け取った手帳を胸に抱きしめながら、自分の順番が来るのを待っていた。


一人一人、友人たちは自分の将来の目標を語っていく。


誰かは家業を継ぐと言い、誰かは専門家を目指すためさらに学業に専念すると言う。


それぞれが自信を持って自分の未来を見つめていた。


ついに、エルンの番が来た。


彼は少し緊張しながらも、父から受け継いだ手帳を掲げて、皆の前に立った。


「僕はこの手帳を持って、世界を旅し、世界中の記録を完成させます。生き物や植物、アイテムを集めて、世界地図を描くんだ。」


広場は一瞬静まり返り、その後すぐにクスクスと笑い声が聞こえてきた。


バルボとその仲間たち、いじめっ子グループが、遠くからエルンを嘲笑していた。


「なんだよ、そんな手帳で世界を救う気か?そこらへんの生き物しか見たこともないくせに!」バルボが大声で言うと、周りの子たちも笑い声を上げた。




放課後、バルボたちはエルンを囲んでいた。


いつもはそれほど過激ではなかったバルボも、エルンの反抗的な態度に腹を立てていた。


いつもは黙ってばかりのエルンはバルボに立ち向かう気持ちを見せていたのだ。


「お前、そんな手帳で何ができるんだ!」


バルボが叫びながら手帳を奪い取ると、近くの川へ向かって走り出した。


周りのいじめっ子たちも一緒に後を追う。


「バルボ、やりすぎだよ!」


仲間たちが声を上げるが、バルボはそのまま手帳を川に投げ入れてしまった。


手帳は水面に落ち、流れ去っていく。


エルンは驚きと悲しみで動けなくなった。


「お前が生意気だからこうなったんだ!」


バルボは怒鳴り、他の子たちを残して帰ってしまった。


その後、エルンは一人で手帳を探しに川辺へ向かった。


しかし、周りを見回しても手帳は見つからなかった。


彼は何度も水の中に顔を入れ、草をかき分け探したが、見つかることはなかった。


その時、サラが駆け寄ってきた。


「エルン、どうしたの?」


「バルボが僕の手帳を川に投げちゃったんだ。今探してるけど、見つからない……」


エルンはサラに事情を話した。


「一緒に探そう!」


サラはそう頷ずくと可愛い服のまま川に入ってきた。


その姿にエルンやる気を取り戻し、再び手帳を探し始めた。


しかし、結局手帳は見つからなかった。


「ごめんね、エルン……」


サラはエルンを慰めるように言った。


「暗くなってきたしもう帰ろうか。」

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