第23話

「もしかして、あなた方が不良Aさん、Bさん、Cさんなのですか?」


「 ···はあ?」

「俺らは不良じゃねえよ?今から君を介抱してやろうと思ってる心優しい青年よ?」



 私の顔を掴んでいた彼が、私の首筋に顔を埋めてきました。



「ヤっべめっちゃいい匂い。レイプされた後なのに肌の匂いたまらん!!」



 私の制服のリボンがするりと取られてしまい、セーラー服の裾から冷たい手が入ってくるのがわかります。



「大丈夫よ?俺らあいつらと違って超やさしーから♡」



 何をしようとしているのか、服の中に手を入れられて、身体中に気持ちの悪い悪寒が走ります。



 条件反射だったのでしょう。



 私は目の前にいた彼に、思い切り頭突きを喰らわせました。



ガンッッ



「いって!!!!」

「あ、オイっ!!待て!!!」



 路地裏から抜け出した私は、全速力で駆け出しました。



「待てよッ!!!」



 後ろから彼らの怒声が聞こえて、でもその声はあっという間に遠くなって。

とにかく必死で走って走って


走って────



 空音さんルートでは、不良に絡まれた空音さんは、主人公である彼に助けられるのです。


 彼は不良さんたちほど強くはないので、今のような渾身の頭突きを喰らわせた後、空音さんの手を引き、必死に2人で逃げるのです。



 手を引いて、逃げ切ったと思った後でも、2人は手を繋いだまま、晴れ空の中を歩いていくのです。



 それなのに、なぜ今私は1人で走っているのか、なぜこんな雨の中を走っているのか。ここは一体、どこなのか────

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