第16話

皆にしめしがつかないと思い、僕はとりあえず彼女を問い詰めることにした。



「君何者?僕らのシマで何してるの?」


「あ、はい。3年生の山元織羽と申します。」


「それは聞いたから。そうじゃなくて何で女の君がこの学校に入り込んできたのかって聞いてんだけど。」


「え、ええと、」



 とその時、1人の下っ端のやつが、靴音を鳴らし、一歩前に出るのがわかった。



「···何?」


「いや、あ、あの、俺、その子知ってるかも···と思ったんすけど···」


「え?知ってるの??」


「いやっ、でもその、なんというか、昔買ったゲームのキャラに似てるなって思っただけで、」


「···ゲーム?」



 藍がその下っ端の方に目をやると、彼がビクリと身を強張らせて後ろに下がる。



「ゲームって、これ?」



 スマホをいじっていた翼が、下っ端の彼にスマホの画面を見せて言った。



「『あの柿の木の下で。』っていうギャルゲーらしいけど、そのキャラクターの中に"山元織羽"ってのがいるっぽい。」



 下っ端君は「そ、それです」と頷いている。



 僕もさっき机の上に置いていったノートパッドを手に取り、"やまもとおるは"の名前で検索してみた。



 真っ先に出てきたのが、彼女の画像。今目の前にいる彼女は、普通のリアルな人間なのに、画像の中の彼女は、完全に2次元のキャラクターだ。



 ベージュカラーの髪の毛に淡いピンクの目、赤いリボンのセーラー服も全く一緒で、そのままキャラクターにした感じ。



「な、何これ。。コスプレ??」


「あの、私はそのゲームの中の人間なんです。ここは、ゲームの中ではないのですか?」




 しーーーん



 皆が一斉に彼女にあわれみの目を向ける。



 でも藍だけは絶句した顔で、心なしか頬を赤くしていた。




 え?そこ信じるの?

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