第15話

補講が終わったのかバラバラとうちの奴等が戻ってきているようで、部屋からそいつらの声が漏れてきた瞬間、「チっ」と嫌そうに舌打ちをする藍。



「おいーなんだよあの木!何でいきなり倒れてんだよ!」

「どーせ藍さんがぶちギレて倒したんじゃねーの??」

「あの人は熊か!!」



 下品な笑い声が響き、藍が足でドアをスライドさせると、一気に場が静まり返る。



 藍を見るなり、皆の喉元が静かにこくりと動いた。



 大概の奴は、藍の前では緊張が走り、動けなくなる。息をするのも阻まれるくらいに。



 でもその空気を断ち切る男が1人、気だるそうに僕らを見て言った。



「···女連れ?」



 窓際にもたれ掛かっていた茶髪のハーフアップのつばさがすぐにそこをツッコんできた。



 藍が自ら女を連れ込むなんてもっての他、このアジトは、基本チームの人間以外は立入禁止になっている。



「てか女連れ込むなっていつも言ってんの、藍じゃね?何であんたが連れ込んでんだよ。」



 藍にそんな口が聞けるのは、僕を含めた4人だけ。藍の下につく、四天王的ポジションの4人だ。



「···ちげえよ。こいつは木の下敷きになってたんだよ。」


「いや、もしかしたら千城工業が送り込んできたスパイかもしれないから、問い詰めようと思って連れてきただけだよ。」

 


 僕がフォローすると藍がこっちを睨んできた。いや、フォローしてやったんだから感謝してほしいわ。

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