第14話
「そんな、やめましょう、お2人とも。」
ナイフが怖くないのか、堂々とナイフを持つ藍の手首に触れ、ナイフをしまわせようとする彼女。
しかし手首を触れられた藍は、なぜか持っていたナイフを地面に落とした。
彼女がその落ちたナイフをしゃがんで取り、シャッと片手で折り畳んでしまうと、藍に差し出す。
「はい。ナイフなんて人に向けては危ないですよ?」
何でナイフのしまい方知ってるのかは置いといて、藍にそうやって上からモノを言うなんてどうかしている。特に女に諭されるほどイラ立ちを感じることはないだろう。
今の今まで僕に向けていた怒りが彼女にいくのだから、怒りも倍になる。もしかしたら彼女、本当に殴られるのでは?
でも藍は、視線が定まらないまま小さく頭を下げると、彼女からナイフを受け取った。
「···さんきゅ。」
だから は??
ねえ、何なのそれ。気持ち悪いよ。
「とりあえず、こいつは2階に連れてく。」
「はあ?!って部屋連れてくの??」
「···このまま黙って帰らせるわけにもいかねえだろ。」
まあ、確かに。
もし敵の女だったら、敵の居場所を尋問なり拷問なりして問い詰めないとダメだしね?
「歩けるか?」
キッと鋭い目つきで、ぶっきらぼうに彼女に聞く藍。
「はい、大丈夫です。」
「階段あるから気をつけろよ。」
「ありがとうございます。」
態度と声色はいつもの藍なのに、出てくる言葉が何か違う気がするのは何でだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます