僕の太宰

鐸木

僕の太宰

まだ心の中に希死念慮の爆弾みたいなのを抱えていて、健康的な生活を放棄している。思春期真っ只中みたいなクサい文章を書いては、憧れに程遠い事に、初めて知ったみたいに絶望している。大人と子供の境界はあるんだろうか。18歳、19歳、20歳になれば皆んな大人の精神状態になるのだろうか。子供を産んだら人は親になれるのだろうか。子供の頃に見ていた理想の大人と、僕がなる現象の大人の乖離は、どうしてできてしまうのだろう。きっと、皆んな疑問に思うまま、大人になるんだろう。成熟した精神なんて無いんだ。天寿を全うするその最期の一滴まで、不老不死に憧れたままなんだろう?ネガティブではあるけど、もう死にたい気持ちは無い。でも薄氷の上ゆっくり歩いていくみたいに、自分の精神のご機嫌を伺って、恐怖に足がすくみながら生きている。安全は無いみたいだ。自分の足が、手が、心が、脳髄が。僕のものでは無いみたいだ。あぁ、あぁ…。

揺れる思考で、ぼやけた輪郭が息をする。二重になっていた線が、一つに統合して思い出を現す。父の本棚だった。よく分からないタイトルばかりだ。…何て読むのだろう?あぁ、この人なら知ってる、見たことある。そう。太宰治…だざいおさむ?だったかな。うん。借りても良いの?読めないな。どういうこと?葉蔵は、辛かったのだろうか。何を思って、何を考えていたの。これは、僕の苦しみだ!僕に就いて書いているんだ。お前らに分かるものか。太宰治?あぁ、もう読まないよ。中学生じゃああるまいし。

あぁ…、何で僕はこうも統一性が無いんだ。また朝がきてしまう。苦しい、苦しいよ。悲しい、淋しい、辛い、苦しい…。でも碌に文章も組み立てられない。僕の苦しみは伝わらない。僕は、ただの怠惰で不安定なだけのただの人。文才も無ければ、人望も無い。せめて彼の様な文才があれば…。

そうやってまた、僕は布団に顔を埋めた。

太宰治に憧れて買った全集は、綺麗に整えられた本棚の中で道化の様に笑った。

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僕の太宰 鐸木 @mimizukukawaii

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