Blood Stone (Japanese version)

第1章：サクソニカ

日本の現代、ある二階建ての普通の家。外からは普通に見えるが、中に入ると、古代の遺物でいっぱいの空間が広がっている。仮面、護符、剣、鎧、絵画、そして数え切れないほどの骨董品が所狭しと飾られていた。

その家の二階の部屋で、主人公の少年、レキシは深い眠りについていた。スマホのアラームが鳴り響き、彼は驚いてベッドから落ち、床に転がっていた石に頭をぶつけた。

「くそっ、いてえ…！」彼は額を抑えながら呻いた。「最悪な一日の始まりだな…」そう呟いて、トイレに行き、鏡で確認したが、幸い赤く腫れているだけだった。「学校に行くまでにこの赤みが引けばいいけど…」

レキシは古い絵画や彫像に囲まれた家の中を歩きながら、ぼやいた。「本当に、父さんはどうしてこんなにいろんなものを集めるんだ？この家、博物館かよ…」台所で簡単に朝食を済ませ、風呂に入った後、制服に着替えて学校へ向かう準備をした。

その日は天気も良く、穏やかな日差しが差し込む快晴だった。学校に到着すると、親友のシュンジとヒビキが笑顔で迎えた。

「よっ、レキシ！」シュンジが元気よく声をかける。

「おはよう、レキシ！」ヒビキも挨拶する。

「おはよう、みんな。」レキシはいつもの疲れた顔で答えた。

「お前、いつもその元気のない顔だな！もっと元気出せよ！」シュンジが軽く肩を叩いて励ます。

「いや、僕は元気だよ…」レキシはそう言いつつも、どこか弱々しい。

ヒビキが心配そうに言った。「レキシ、あんまり言いたくないんだけど…お父さん、まだ帰ってきてないの？お母さんのことも、まだ手がかりが見つかってないの？」

レキシはため息をついた。「うん、父さんはまだ帰ってこないし、母さんが見つかるまでは戻らないと思う。大学や博物館の仕事がある時だけ帰ってくるけど、それ以外はずっと発掘現場を回ってる。」

「そっか…」ヒビキは悲しそうに言った。「早くお父さんが帰ってくるといいね。」

「ま、そんな暗い話はやめようぜ！」シュンジが明るく言って、三人は授業に向かう。

教室に入っても、レキシの頭の中は過去の出来事でいっぱいだった。彼の両親は日本でも有名な考古学者で、発掘調査や博物館の管理、大学での講義などをこなしていた。

「俺が10歳の時のことだった。あの旅行で、すべてが変わった。」レキシは思い返す。「発掘現場で、突然大きな音がして、眩しい光が俺たちの近くに現れた。母さんは俺を掴んで、父さんのところに突き飛ばしたんだ。そして…光に飲み込まれて、消えた。」

それ以来、彼の母親はどこにも見つからなかった。警察や科学者が調査を行ったが、手がかりは一切なかった。「それ以来、父さんは母さんの手がかりを求めて世界中を探し回ってる。どんな小さな手がかりでも追いかけてね。父さんは、母さんが別の世界に飛ばされたんだって信じてるんだ。」

レキシは父親の執念に疲れていた。「俺だって、母さんがいなくなったことは乗り越えられないけど…でも、俺はまだ生きてるし、前に進むしかない。」そう考えながら、彼は家に帰った。

家に戻ると、軽く食事を済ませ、再び風呂に入った。リラックスして鼻歌を歌っていた時、突然、家全体の電気が消えた。

「またかよ…！どうなってんだよ、もう！」レキシは怒りながらバスルームから飛び出し、タオル一枚で廊下に出た。「最近、停電が多すぎる…」彼は苛立ちながら床を踏み鳴らし、廊下を歩いていると、突然、目の前に奇妙な歪んだ穴が開き始めた。

「…何だ、これ？」彼は驚いて尻もちをつき、その穴を見つめた。穴の中からは戦場の音が聞こえてきた。剣がぶつかり合う音、叫び声、そして激しい戦闘の光景が広がっていた。

その瞬間、穴の中から一人の少女が飛び出してきた。彼女はオレンジ色の髪を持ち、動物の毛皮をまとった鎧を着ていた。手には大きな剣を持ち、誰かが彼女に襲いかかっていた。

「ここに入ることは許されない！お前はこの世界の者ではない！」男が叫び、彼女に斬りかかったが、彼女はうまく身をかわし、男は再び穴の中に落ちていった。穴は閉じ、家の電気も元に戻った。

レキシと少女は、しばらくの間、お互いを見つめ合っていた。

数秒の沈黙の後、少女は立ち上がり、剣を構えたままレキシに向き直った。冷たい目で、彼に問いかけた。

「お前、敵か？ここはどこだ？どうやって戻ればいい？答えなければ、この剣でお前の首をはねるぞ！」

レキシは驚いて両手を挙げた。「いやいや、ちょっと待ってくれ！俺は敵じゃない！ここは日本で、俺の家だ！何がどうなってるのか、俺にも全然わからない！俺はレキシ。そっちこそ、誰なんだよ？」

少女は一瞬ためらったが、毅然とした表情で答えた。「私はアシルド。サクソニア王国の王女だ。それで、レキシ、お前に頼む。私を元の世界に連れ戻してくれ！」

レキシは思わず天を仰ぎ、大笑いした。「マジかよ…もしそれが本当なら、これから長い話になりそうだな、アシルドさん…」

アシルドは困惑した表情のまま、静かに彼を見つめていた。