私の黒歴史は、こうして始まった。
クライングフリーマン
『黒歴史』開幕
==ノンフィクション(実話)ですが、実名はなるべく伏せてあります。====
私は、落第したことは無かった。資格試験に不合格だったことはあるが。
あの、進級試験(無試験だが)も、資格試験と言えなくもないが。
私は、京都の劇団を辞め、東京の『〇アト〇〇コー』付属養成所に入学した。
劇団経験もあり、一番年長でもあり、所長のお気に入りでもあり、多くの演出家の先生にも気に入られていた。
それも、遠因だった。
ある時、先輩達とどこかに行った帰り、会社(劇団は株式会社)の営業部長が、電車の隣の車両にいるから、「もうすぐ副社長ですね。」と、おべっか使ってこいという先輩の「パシリ」で、隣の車両に行って、その通り伝えると顔色がさっと変わった。
「世間知らず」の私は、会社の「派閥闘争」なんて想定外だった。
有頂天になりすぎていた。
『〇アト〇〇コー』付属養成所は、『本科』『専科』の2年制だったが、『専科』は、『本科昼間部』『本科夜間部』から選抜、詰まり、不合格者は「留年」ではなく、「終了」とういう名前の「追放」になる。
私は、本科昼間部でありながら、本科夜間部、専科の授業も出ていた。
つまり、土日祝日以外は毎日1日中、養成所にいた。
それだけ特別待遇される程、嘱望されていた。
私が「追放」になった後、事務員は辞めていた。
何か私と関連があったかも知れないが、妄想の域を出ない。
私は、「不合格通知」に初めて絶望というものを味わった。
「悪魔に魂を売るから、出てきて運命を変えてくれ。」
そんな願いが叶う訳もない。
私を可愛がってくれたKW先生、KK先生、MT先生。皆、(行く末を)心配してくれた。
人に寄っては、他の劇団や劇団養成所に入り直す場合もある。
私には、もう余裕が無かった。
MT先生によると、講師陣の「投票」によると、過半数を獲得していたそうだ。
なのに、何故こうなったのか?と不思議がっていた。
結局、私はKW先生の紹介で、国〇劇〇で、大道具のバイトを始めた。
そのバイトの先輩のコネで、国〇劇〇以外の大道具のバイトも始めた。
順調だった。が・・・二転三転した。
私は、バイトを辞め、新しく入った劇団で地方公演など楽しくやっていたが、ある時、「乗っ取り」が侵攻し始めた。
実は、最初の劇団員だった頃も、そんなことがあり、不信感で辞めたのだ。
東京に行こうと思ったのは、その後だったのだ。
「おんな座長」は、「よろめき」に弱い。部下の座員には毅然としているが、ハンサムな紳士の前では、「おんな」に戻ってしまい、欺されてしまう。
最初の劇団も、その時の劇団も、私が辞めた後で解散した。
芝居の中の「演技」と現実世界の「演技」は違う。
そして、私は彼女と出会う。
第二幕の幕開けだ。『黒歴史』の。
『〇アト〇〇コー』の講師陣で生きている人は、もう誰もいない。
私が師と仰いだKW先生は流行病に倒れた。夫婦共々だった。
「枠朕」が、まだ輸入出来ていなかった時にだ。
結果的に、「枠朕」打っても延命出来たどうかは神様しか知らない。
KW先生は「100作品演出公演」を悲願にされていた。100に拘っておられた。
不肖の弟子の私は、自分の書いた作品が100を越えた時、心の中で先生に報告した。
今は、(描き直し分を含めて)682作品だ。メインシリーズは、309だが。
行ける所まで行くしかない。
今日、病院に行ったら、母は今朝「鼻チューブの栄養剤」を吐き、熱が上がったそうだ。
点滴をし、熱は下がったようだが、予断は許されない。
私の『絶望との闘い』と『黒歴史』は続く。
―完―
私の黒歴史は、こうして始まった。 クライングフリーマン @dansan01
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