この時代

第3話

 心残りを持って死んだ人が幽霊となって、人々に被害を与える時代。

 神業を生まれ持った人々が幽霊を封印してきた。

 神業を持った家は名家となり、その能力を途絶えさせることのないように、政略結婚をしている。

 日野家と藤宮家もその1つ。日野家は幽霊の感情を喜怒哀楽で読む神業を持ち、藤宮家は幽霊の過去を読み取る神業を持つ。

 だが、それは、人間には通用しない。そのため、神業を信じる人は少ない。

 しかし、民を守るという仕事として、政府からは認められ、重宝されている。

 そんな良家の私と零さま……旦那様はなかなか結婚しなかった。

 見かねたお父さま方が結婚できない同士で結婚させてみたらどうか、という話になったそうだ。お父さまと旦那さまのお父さまは交流があったらしい。

 結婚できない者同士が結婚したところで長続きするはずもないだろう。

 私は22歳。旦那様は26歳。

 女は15ほどで結婚している者が多い。

 私が結婚できない理由? そんなものは簡単だ。

 私は、話すのが大の苦手なのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る