【山本五十六】ミッドウェー島を攻め落とせ!
山本五十六は部下から受け取った無線通信に目を通していた。それには、「ソロモン諸島、攻略成功」と書かれていた。山本五十六は目の前のミッドウェー島をいかに攻略するか、戦略を練っていた。
ソロモン諸島での戦いと同時にミッドウェー島を攻める手はずだったが、天候が悪く、予定よりも半日遅れていた。しかし、それだけで山本五十六たちの有利が揺らぐことはない。
「航空部隊の準備状況を報告いたします。赤城、加賀の零戦は準備完了。蒼龍、飛龍の準備もまもなく完了します!」
「ご苦労」
山本五十六は改めて、ミッドウェー島の地図を見る。半月型の岩礁の両端に島がある。この島々を攻略すれば、山本五十六の勝ちとなる。だが、単に攻めるだけでは、多大な犠牲を払うことになる。
「この時期のミッドウェー島付近には東風が吹く。これを活かさない手はない……。君、今から言うものを偵察機に積み込んで欲しい」山本五十六は部下に耳打ちをする。
「かしこまりました。そのようにいたします」
二時間後、偵察機がミッドウェー島のはるか手前で戻ってくると、島は煙で覆われていた。偵察機が投下した煙幕によって。
「零戦は順次発進! 目標は視覚を奪われている。こちらへの対空砲火も当たらなければ、どうという事はない」
山本五十六は東風によって、煙がミッドウェー島に流れることを計算に入れていた。そして、向かい風によってアメリカ軍側の航空部隊の発着が遅れることも。赤城をはじめとした空母から発進した零戦は、一撃離脱を繰り返し、敵に反撃の隙を与えない。しかし、敵もさるもの、徐々に零戦を捉え始める。
「ど、どういたしましょうか。このままでは――」
「落ち着け。奴らも馬鹿じゃない。レーダーでこちらの居場所を探っているんだろう。しかし、それも無駄になる」山本五十六は冷静さを失わない。
零戦は次第に海面に近い低高度での飛行に切り替える。
「アメリカのレーダーは、低高度の目標を捉えるのが難しい。我々の精鋭パイロットなら、低空飛行も問題なく出来る。さて、ミッドウェー島の陥落も時間の問題だ。大本営への無線通信を準備しておけ。『ミッドウェー島を攻略完了。次の指示を求む』と」
数時間後、ミッドウェー島に白旗が上がった。山本五十六は上陸すると、アメリカ軍の司令部に乗り込む。
「ご報告いたします。敵は極秘資料のすべてを焼却した模様です」
「構うものか。我々は太平洋すべての島々を支配下に置いている。大日本帝国に歯向かうからこうなるのだ」
山本五十六の頭の中では次の作戦を練っていた。この勢いでアメリカ本土を目指すか。それとも、他のターゲットを攻め落とすか。その時、焼けこげたドアがノックされる。
「大本営から、次の目的地の指示がありました。こちらです」
山本五十六が受け取った紙にはこう書かれていた。「アメリカ本土に攻め入る足がかりとして、アリューシャン列島のキスカ島を攻略せよ」と。
「アリューシャン列島、キスカ島か……」山本五十六はその地名を小さく反芻する。「アメリカ本土への第一歩だ。進むしかない。帝国のために、我が道を行くのみだ」山本五十六は自らに言い聞かせるようにそう呟いた。
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