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 翌朝、荷物を持って廊下で合流した私達は、どちらも目の下にクマを拵えていた。


「…おはよー、源ちゃん、寝癖すごい」

「モモちゃんだって…せっかくお母さんに会うんだから整えなよ」

「…直らなかったの」

 私は普段は滅多に寝癖など付かないしなやか直毛なのだが、源ちゃんのことを悶々と考えているうちに寝落ちしてしまい、乾かし忘れてしまったのだ。

 後ろ髪は高い所で留めてどうにかなったけれど、暴れた前髪は誤魔化しきれずピョコと跳ねて動くたびにふわふわと揺れる。

「留めて、オデコ出せば?」

「ヘアピン、後ろ髪に使っちゃって足りなかったの。ヘアアイロンも持って来てなかったし…これが水で直せる限界」

「へぇ…モモちゃんでもドジするんだね」

「…まだまだ未熟なの。源ちゃん、チェックアウトしよ」

「うん」


 フロントで私が精算をしてもらってる間、源ちゃんは私の後ろ頭を見下ろしてはニコニコしていて、その様子がホテルマンの後ろの鏡タイプの壁に映り込んでいた。

 美味しそうなおやつを待ちわびる様な愛でる様な表情、鏡越しに目が合えば彼は一層目尻を下げる。

「よーし、じゃあ行こう」

「うん、モモちゃん、その髪留め可愛いね」

「ありがと、行くよ」

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