第46話

家に帰宅し、翔人にお風呂に入るよう指示を出し、寝る前に読んでくれと頼まれていた絵本や、就寝の準備に取りかかる。

翔人が戻って来てからはぐりとぐらを何冊か一緒に読んだのだが、その途中で疲れてしまいそのまま眠ってしまった。

そんな翔人を布団まで連れて行き、後はまりあが帰って来るのを待つだけなのだが…




「まりあっ!?もう帰って来たのか?」




寝室から部屋へ戻ると、今ちょうど帰って来たばかりであろうまりあの姿が…もっと遅くなると思っていた聖也はかなり驚いた様子でいる。




『2人の事が気になってしまって…』


「そうだったのか……おかえり、まりあ」




今では彼女自ら聖也に甘えた行動をとるようになり、ただいまの変わりに彼に抱きついた。

普段一緒にいても翔人の前ではこのような事が出来ないため、聖也と2人きりの時こそ彼女にとって贅沢な時間なのだ。

それは彼もわかっているため、2人の時はいつもまりあを優しく受け入れた。




「楽しかったか?」




そうだと嬉しそうに頷く彼女の顔を見ているとキスをしたい衝動に駆られ、思わずそのままキスをした。

まりあもそれに応えてくれるため、触れるだけのキスから段々深いものに変わっていく…お互いこれでもかという程の幸せを感じており、その波にのまれておかしくなりそうだ…




『翔人の面倒見てくれてありがとうございました』


「どういたしまして。まっ、とんだわんぱく小僧だったけどなぁ」




どういう事だろうと首を傾げるまりあに、聖也は回転寿司での様子を彼女に見せた。

まりあへの報告のために動画もこっそり撮っておいたのだ。

初めのうちは彼女も笑顔で見ていたが、テーブルに次々に並べられていく寿司を見て目が点に…




『これ全部翔人が?』


「…そうなるなぁ。俺も食べるのは手伝ったから大丈夫だ、残してはいない」


『本当にすいません…』


「いいよ、子供だから仕方ない。今度はまりあも一緒に行こう」


『何から何までありがとうございます。聖也さんのそういう優しいところ大好きです』




笑顔で携帯をこちらに向けてくれるも、文字で伝えられるとかなり恥ずかしいと感じる聖也。

やはり彼女のそういうところは憎めない。




「俺も好きだ」




2人の体は小さなソファーに沈み、また更に幸せを噛みしめた。

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