第44話

「おじさん食べないの?」


「俺は後で食べるからいいんだ。気にせず食べろ」




食べ進めている途中、翔人が急にうどんが食べたいと言い出し注文しようとしていたが、流石の聖也もそれだけはやめさせた。

これだけ取っておいてなぜまだ食べられると思うのか…子供は本当に不思議だと思った。




「そうだおじさん、今日先生がね、お家に帰ったらお母さんかお父さんと一緒に絵本を読んできなさいって。だから帰ったら一緒に読も?」


「いいけど、そんな事までさせられるのか?」


「今は皆んなで本をたくさん読もうっていう取り組みをしてるんだ。だからなるべくたくさん読めるようにって先生が言ってた」


「4才なのに大変だなぁ」




その後も今日保育園であった出来事を楽しそうに語りだした。

そして案の定、寿司は食べきれずに残ってしまったものの、デザートは全て綺麗に完食されていた。




「…僕お腹いっぱい」


「取りすぎだ。食べられてからにしろって言ったろ?」


「はぁい…」


「おい、これ上の部分はどこいった?」


「ご飯に辛いのがついてたから上だけ食べた。下のご飯は食べられないからおじさんにあげる」


「…そうか」




斬新すぎる食べ方に聖也も唖然……そしてよく見ると、シャリの上についているワサビに、ネタについていたワサビを擦り付けたような形跡も残されていた。




「またお寿司食べに来ようねっ、おじさん」


「……寿司より美味い物がある」


「それ何っ!?」


「次は焼肉にしよう」


「焼肉!?おじさん絶対連れて行ってねっ!!」


「あぁ」




当分回転寿司から離れたほうが良さそうだと思う聖也なのだった…

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