第31話
翌朝、お散歩を楽しみにしていた翔人はいつもより早く目を覚ました。
ただ、自分が寝ている間に聖也が帰ってしまったのを残念そうにしていた。
「おじさんにまた来てって伝えて?」
『わかったわ。これ、あたらしいすいとうよ。こんどはおとさないようにね?』
昨日ギリギリで買った水筒を翔人の首にかけてやった。
帰ってからすぐに見せようと思っていたのだが、当日に見せた方がサプライズにもなるし、何よりお気に入りのSTARWARSのためかなり喜んでくれるに違いないと思い今日渡す事に…
「STARWARSだーっ!」
想像通り翔人はかなり気に入った様子。
水筒を大事そうに抱え、描かれているイラストをじっくり見つめた。
「見てっ、ダースベイダー」
『ほんとね。きにいってくれた?』
「うんっ!ありがとうママ!!大事に使うね?」
一緒に支度をして、保育園のお迎えのバスが来てくれる所まで手を繋いで向かう2人。
上機嫌に鼻歌を歌っていた翔人だが、突然歌をやめてこんな事を…
「ねぇママ、ママは1人で寂しくないの?」
『はやとがいるからさみしくないよ。どうしてそんなこときくの?』
「何でもない…あっ、バスが来たっ!」
翔人の中で思った答えと違ったのだろう、これ以上は何も言わなかった。
本当は寂しい…おじさんがずっと一緒にいてくれればいいのに…こう言って欲しかった。
「ママ行ってくるねーっ!!」
楽しそうにバスに乗り込む我が子を笑顔で手を振り見送った。
いつもならこのまま職場に向かうのだか、今日は家に戻り、早速出かける準備を進めた。
自然とメイクとヘアセットに気合いが入るまりあ…ここまではいいものの、問題は着る物だ。
昨日聖也が帰った後も考えていたのだが、けっきょく何も思い付かなかった。
いくつか鏡の前で合わせてみるもいまいちピンとこない。
ここでふと、ある物の存在を思い出した。
それは以前購入したベージュのメッシュシューズだ。
一目惚れして買ったはいいがそれはヒールが細く、普段翔人を連れているため中々履く機会がなかった。
それをベースに考え、今日はショート丈の厚手のニットとマーメイドスカートを着用する事に…上下ともピンク系の色で合わせ統一感を出したのが彼女なりのポイントだった。
小物はなるべくダークカラーにしメリハリをつけたらこれで準備完了。
時間も丁度家を出るぐらいになったので、少しドキドキしつつもまりあは待ち合わせ場所に向かった。
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