第24話

トーク画面を見てまりあは唖然とした。

自分が送信したメッセージを最後に大量のスタンプと通話履歴。

これはかなりまずい状況だ……




「おじさんが水族館連れて行ってくれるって」




さっきまで怒られてあんなに凹んでいたのに…こういう時の子供の切替の早さと呑気な所がうらやましい。




まりあ:翔人が本当にすいません🙇‍♀️🙇‍♀️🙇‍♀️





とにかく急いで謝罪メッセージを送った。

子供がした事とはいえ、いくらなんでもこれはかなりの迷惑行為だ。




如月:大丈夫😌💭

気にしてないからいいよ✋





すぐに送られてきた聖也のメッセージに一先ず安心した。

これからは翔人の目の届く所に携帯を置かないようにしようと思うまりあ。




如月:水族館に行きたいんだって?🦈



まりあ:みたいです💦



如月:さっき連れて行く約束もしたからそこにしよう😎👍



まりあ:本当にいいんですか?

ご迷惑になりません?🥺💭



如月:ならないよ😘



まりあ:色々とすいません🙇‍♀️💦

ありがとうございます😍❣️





聖也とやり取りしている時は自然と頬が緩むまりあ。

やはり彼に惹かれているのだろう…そんな彼女の様子も翔人はそっと隣の部屋から見つめていた。

母親のあんな表情を見るのは初めてのようで、翔人自身も嬉しい気持ちになりまりあの元へ駆け寄った。




『すいぞくかんつれていってくれるって。よかったね』


「うんっ!」


『あたらしいふくがとどいたからそれきていこうね』


「本当っ!?開けてみてもいいっ?」


『いいわよ』




翔人は嬉しそうに大きな段ボールを開け始めた。

中には新しい服の他に靴や帽子も…やんちゃなためすぐに服がダメになってしまうので、まりあはよく翔人の服を注文している。

本当は自分の服も欲しいのだが贅沢は出来ないし、何よりも子供が優先だとまりあは考えていた。




「この靴かっこいい!明日から履いてもいい?」


『いいわよ』


「やったーっ!!僕も大きくなったらママに買ってあげるね」


『ありがとう、たのしみにしてるね』




この子はこの子で、彼女が思っているよりも状況をよく把握しているのかもしれない。

以前2人で街を歩いている時、とある店のマネキンを見てまりあが立ち止まったのを翔人はよく覚えていた。

大きくなったら買ってあげる…どうやらかなり本気で思っているようだ。




「これお出かけする時に着るー」


『よくにあうとおもうわ』




声が出ないという大きな壁があっても、この親子の関係性は上手くいっていると言っても間違いはなかった。

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