第14話
「これとこれだったらあんたのオススメは?」
翌日、やはり聖也は昨夜も来たこの店を訪れていた。
あれから散々悩んだ末、後から後悔するぐらいなら買ってしまおうという決断を下した。
ただ白がベースの丸いミラーにするか、薄いピンクがベースの丸いミラーにするか…直前でどちらがいいか迷ってしまった。
そして今、丁度まりあと同じ年頃の女性がレジにいたので彼女にオススメを聞いている最中…
「私の…オススメですか?」
突然やって来た顔立ちの良いスラリとした男性客に彼女は戸惑いつつも赤面した。
制服に付いている名札には研修中の文字が…どうやらこんな客の対応をするのは初めてのようだ。
「あんたに全てがかかってる。もらって嬉しいのはどっちだ?」
そんな責任重大な事を他人の自分に聞かれてもと困惑したが、立場上今この客の接客をしないといけない…
「私なら…白いほう…ですかね?」
「理由は?」
「…無難で可愛いから?」
「じゃあこっちにしよう」
「ラッピングはどうされます?」
「任せる」
彼女は更に困惑したものの、恐らく大切な人へのプレゼントなんだろうと察し、丁寧にラッピングを施した。
全てがかかっていると言われてしまった以上手を抜く訳にはいかない。
「あのっ、お待たせしました」
「あんたセンスあるなぁ」
手渡されたそれは白いオーガンジーの袋に入れられ、白い太めのリボンとライトグレーの細めのリボンが巻かれていた。
ピンクやラベンダーカラーの可愛らしい色もあったが、ここは彼女なりに王道の白で勝負したようだ。
案の定聖也はそれを気に入った様子でいる。
「ありがとう、おかげで助かった」
「いえっ、こちらこそありがとうございました」
いい買い物が出来たと上機嫌な聖也は、小さなプレゼントを片手に早速例の公園に向かった。
まだ少し肌寒いこの時期にも関わらず、何人かの子供が元気に遊んでいる。
今日はかなり長めの黒のロングコートに少し派手なブラウス、それにサイドにラインの入ったストレートパンツといったそこそこラフな格好だったため、あまり違和感なく公園に馴染む事が出来た。
まりあはまだ来ていないようなのでいつものベンチではなく、少し離れた所にある休憩スペースへ移動。
そこにはそれなりの木のテーブルもあるのでここの方が使い勝手は断然いい。
聖也はプレゼントを眺めながら彼女が来るのを今か今かと楽しみに待った。
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