第46話
我慢の限界に達したのだろう、後ろにいた男の1人が彼に狂気を露にした。
パアァァンッ
しかし音と共に男は軽く悲鳴を上げ、その場に倒れこんだ。
これは全てほんの一瞬の出来事…
「言っただろ?命の保証はないって。わかったらさっさと座れ」
そう、内ポケットに隠し持っていた拳銃で彼が発砲したのだ。
その行為は恐ろしいほどあっさりしていた。
私は見てしまった…彼が人を殺す瞬間を。
あの時の感情を思い出してしまった……それは恐怖。
今の今まで忘れていた。
本当は忘れてはいけなかった……
「hun…やっと大人しくなったか。こんなこと女の前でさせるな。お前だって見たくなかったろ?シャロン…Is it OK?」
優しく伸ばされた手も、今日はどこか冷たく感じてしまった。
彼も察したのだろう…私にだけ聞こえる声で、Sorry…お前が危なかったと…彼は真剣な顔に戻り男と対面した。
これからどうなるかなんて想像もつかない。
「はっきり言おう、俺はお前達にガッカリした。勢力を爆発的に拡大させ今じゃ最も恐れられる組にまでなった…しかしなんだ?このザマは?ん?これじゃああの世に行っちまった幹部連中もガッカリしてるだろうなぁ…」
「お前が現れなきゃ全て順調だった」
「全てが予定通りに進むとは限らないっ!誰だって計画を立てることはある。もちろん計画するのも自由だ…だがお前達にはその場の状況に対応する能力が足りないっ!!だからこんな目に合うんだぁ。それを俺が教えてやった、それだけだ」
「ふざけるなっ。お前にそんなことする筋合いはない…なぜ俺らなんだ?金か?」
「金なんかどうでもいい。お前らは金のことばかりで、一言で言うと…あぁ、下品だ…だから女にも逃げられるんだ」
「말하지 마라!」
( 黙れっ! )
「아빠의 할 말을 들어야 했다… 너에게 위로 서는 소질은 없다」
( パパの言うことを聞くべきだったなぁ…お前が上に立つ資格はない )
Wow…Korean...?
韓国語も話せたの?英語だけでも驚きなのに…ほんとに彼何者?
「お前に何がわかるっ!?やっとここまで来たんだ…やはりお前にはここで死んでもらうっ!!」
「…勝てると思ってるのか?なぁっ、お前ら!!」
彼の言葉を合図に、後ろにいた男達が一斉にこの男に銃を向ける。
状況は一変しさらに緊迫した空気が張り詰めた。
私もそうだが、このリーダー格の男が1番驚いていた…それもそのはず、仲間だと思っていた人達に銃を向けられているのだから。
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