第45話
長い入浴を終え、私達はまたのんきにくつろいでいた。
映画を見たりたわいもない話をしたり…そういう時間も私は好きだ。
だがそんな時間を壊すかのように、彼の携帯に電話がかかってきた。
いつもはメールなのに……何か嫌な予感がする。
「何だ?……あぁ、そうか…そいつは気の毒だなぁ。よぉしわかった、お前はそこを動くな。こっちは俺が片付ける……心配するなぁ、全部計画通りだ。俺が連絡するまでそこを動くなよ?いいな?」
片付ける?またこれから出かけるのかしら?彼といい、暴力団といい…ほんと物騒な人ばかりね。
「今度はどこ行く気?」
「いいやぁ、どこにも行きやしない。あいつらが来るんだ」
「来るって…どこに?」
「ここにだ。まぁ来ると言ってもほんの10人程度だ、なんとかなる」
まさか暴力団とここで殺り合うつもり!?しかも計画通りって…
「巻き込まれるのだけはごめんだわっ、どうしてもっと早く教えてくれなかったのよ?」
「下手に動くと勘づかれる。それに俺がついてるんだ、なんの心配もいらない。ほぉら、噂をすれば…連中のお出ましだぁ…」
その瞬間物凄い勢いで扉が開き、怒り狂った暴力団がぞろぞろと部屋に入って来た。
丁寧に武器まで持って…本気で殺しに来たに違いない。
彼を信じていれば大丈夫よね?ちゃんと守ってくれるわよね?
「Welcome, everyone!おいおいなんだ?その面は…気に入らないなぁ」
「それはこっちの台詞だ。散々好き勝手しやがって……悪いがあんたにはここで死んでもらう。女の面倒はちゃんと見てやるから安心して死ね」
「まぁそう熱くなるな。俺がこんなところで殺り合うと思うか?ん?そこに座れ」
ガシャーンッ!!!!
「ふざけてんのかぁっ!?」
怒り狂った男は天井に向かって1発発砲した。
シャンデリアは割れ細かな破片がパラパラと舞う。
そんな男の様子とは反対に、彼はいつもとなんら変わらない様子でいた。
「てめぇ自分が何したかわかってんのかっ!?そのせいで俺らの組は壊滅状態…!どう落とし前つけてもらおうか?…おい女っ!!こっちに来い」
ちょっと冗談でしょ?関係ないじゃない私。
女を何だと思ってるのかしら?
「来いって言ってんだっ!お前も死にてぇのかっ!?」
また発砲されても困るのでとりあえず男の言う通りにしようとしたが、立ち上がった瞬間彼に右腕を掴まれた。
「行く必要はない、座ってろ」
「何ナメたマネしてんだてめぇっ!!!!」
「それはこっちの台詞だ。勝手に人ん家の物を壊した挙句、女をよこせだと?笑えない冗談だ。こいつに何かしてみろ…命の保証はない」
またこの目…人を殺すことになんの躊躇いも抵抗もないような冷たい目。
けど今日は冷たいけどどこか…どこか熱くて真剣なようにも見えるのは気のせい?
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