第37話

——— 2週間後 ———



「お墓参りにまで着いて来る意味ある?」


「あのなぁ、今お前は世間から容疑者扱いされてるんだ…心配するのも当然だろう?」


「またそんな上手いこと言っちゃって…」



今日はママとパパの結婚記念日。

お墓には相応しくないけどお祝い用の花束を供えることにした。

せっかくの結婚記念日なのにあんな辛気臭い花だとかわいそう…



「にしても、ほんとにこんな所にあるのか?」



お墓の場所はあまり知られていない、少し山奥にある教会の側。

微妙に生い茂った草の道と長い階段が永遠に続いた。

タイトワンピのほうで来て正解だった…あんな丈の長いワンピースでこの道を歩くなんてもう終わってる。



「知ってるくせによく言う。ほら、もう着いたよ?この先をずっと真っ直ぐ行けばそうだから」


「バレちゃあしょうがない。ここからは1人で行け」


「あら?随分気が利くのね」


「紳士だからなぁ俺は。ほら、さっさと行ってこい」


「ちゃんと待っててよー?」



意外、最後まで着いて来ると思ってたけど…ほんとに気を使ってくれてるのかしら?

まっ、初めからここには1人で来るつもりだったしいいか。

軽快な足取りで両親の元へ向かう彼女…それもそのはず、彼女はまだなにも知らない。

これから起きようとしていること…いや、もうすでにそれは起きていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る