第38話
警察官は悪い奴を捕まえるのが仕事。
そのためどんなに危険な捜査でも、自分の信念を貫こうとする。
しかし、その信念が歪んだ方向へ向かってしまうのも事実…彼らは出会ってしまった。
本来なら出会う運命ではない2人が……いや、わかっていたとしても出会ってはいけなかった…
「悪いがあんたをここから先に行かせるつもりはない。出直して来るんだなぁ?」
「お前が…」
「日本の警察は優秀だって言うがアレは嘘だな。なぜならここにぃ…俺がいるんだからなぁ」
「認めるのか?随分潔がいいんだな」
「認めようが認めまいが、どうせお前らは俺を捕まえることは出来ない。仮に捕まったとしても証拠がない…残念だったな」
「……どうしてシャロンなんだ?」
「ah…事件よりよっぽど気になるみたいだなぁ。まぁ恋人が急にいなくなったんだ、心配するのも無理はない。だがぁ、今は俺の女だ。人の女に手を出すのはよくない…諦めろ」
「まさかそんなこと」
「信じてないな?」
「信じられるわけないだろ。…彼女に何をした?」
「いやぁ、俺は何もしちゃいない。ついでに言っておくが、俺は彼女を攫ったりなんかしていない。あいつが勝手に部屋を出て俺のところに来たんだ。勘違いされちゃあ困る」
「ふざけるなっ!」
「shi…大声を出すのはやめよう。そんなにあの娘が好きなら俺を捕まえればいい…そうすればまた手に入る。まっ、あいつが今もお前をどう思ってるのかは知らないけどなぁ」
「お前っ…」
「殺したいほど憎いか?俺が?だがお前は刑事だ…そんなこと出来ないよなぁ?刑事のお前に出来るのは証拠を見つけることだけだ…1人で捜査しろとは言っていない、もちろん警官を総動員してもいい。どうだ?おもしろいだろ?」
「ゲームのつもりか?なぜこんなマネをする?」
「知りたいか?それはなぁ……楽しいからだ」
「楽しい?人を殺しておいて楽しいだと?」
「俺がナイフにこだわる理由がわかるか?銃は一瞬だが、ナイフは人間のリアルな最期が見れる。俺はそれを見るのが好きだ…情けない奴もいれば潔がいい奴もいた…シャロンはどんな顔をすると思う?」
「殺すつもりなのか…!?」
「さぁなぁ…それは状況次第だ。なんなら今殺してやろうか?」
「お前っ…!ふざけるのもいい加減にしろっ!!!!!!」
「俺に勝てると思ってるのか?んっ?」
「くっ……」
「こんな所で争うのはよくない。シャロンが見たらどう思う?あいつはまたきっと悲しむ…俺はあいつの悲む顔はもう見たくない…わかったらさっさと消えろ。それと、俺に勝ちたきゃ銃でも持って来るんだなぁ」
男は勝ち誇ったかのようにヒラヒラと手を振り彼女の元へと向かって行った。
その場に残された男は悔しさと絶望、そして怒りを覚えた。
そしてこれもあの男の計算通りの反応だった。
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