第29話
「…そいつはいつも1人で行動しているのか?例えば……女を連れてるとか」
「女!?んなこと知るかっ!とにかく俺は今話したこと以外なにも知らねぇよっ」
「ならなぜ男だってわかった?」
「聞いた奴がいるんだよっ、殺された仲間の1人がコソコソ電話してるのを。ただそいつはその時から裏切り者って目つけられてたんだ…他の組の奴と電話してるんだろうって思ってたがまさかこんなことにっ…それであの時の電話の奴が今俺らが探してるそいつなんじゃないかってことになったんだよ!!なぁもういいだろっ!?ほんとに何も知らねぇんだよ」
正直半信半疑だった。
嘘にしては妙にリアルな部分もある…顔を切り刻まれた遺体が見つかった事件が他にもないか念の為調べておくか。
けどシャロンとそいつになんの関係が?シャロンがいなくなったのは偶然なのか?
「なぁ、その電話で他にも何か言ってなかったのか?」
「あぁっ?あーそういえば、免許証が何とかって言ってたって聞いたなぁ」
「免許証!?その電話聞いた奴を今すぐここに呼ぶんだ」
「だから言ってんだろ!?昨日出歩いてた奴と連絡とれねぇって!そいつもその中の1人なんだよっ。なぁもういいだろ?全部喋ったんだ、見逃してくれっ頼むっ!!」
「…残念だけどそれは出来ない。こんな物が見つかったんだからな」
「ちょっと待ってくれよ!!話が違うだろっ!?じゃっ、じゃあこうしよう!俺が何とかそいつの情報を手に入れてそれをあんたに教える!そうすりゃあんたらだって事件解決出来るし手柄になるだろ?なっ?」
取り引きか…本来ならヤクザとの取り引きなんて絶対あってはいけないこと…そんなのは俺だってわかってる。
ただ手掛かりが他に何もない以上、こいつにかけてみるしか方法はなかった。
これでシャロンが見つかるのなら……
「わかった。その代わりどんな些細なことでもいい、何かわかったらすぐに連絡しろ。それともう1つ、この取り引きと今後その男に関する情報は俺とお前だけの秘密だ。この条件がのめるなら取り引きしてやってもいい」
「わっ、わかった…約束するっ!これで取り引き成立だよなっ!?」
「あぁ、これが俺の連絡先だ。わかったら他の捜査員に見つかる前にすぐに行け」
「おっ、おう。あんたが話のわかる奴でよかったぜ…」
少しずつではあるが事件が見えてきたと彼は確信した。
もう他の捜査員は宛にならない、自分で解決すると心に決めていたのだ。
だがこの取り引きにも何か裏があるのをこの時彼はまだ知らないでいた…
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