第22話

「あなたが捕まっちゃう」


「そうだなぁ。まっ、俺は犯罪者だ…犯罪者はいつか捕まる。そういう運命だ」


「…そんなの嫌っ」



いなくなっちゃうなんて…そんなの嫌っ。

あなたがいなくなったら私……思わず彼の胸にとびこんだ。

その拍子に巻いていた布団がスルりと下に落ち、白い体が顕になった。

その体には至る所に赤い印が刻まれていた。

背中に回された腕、髪に絡められた指…もう全てが愛おしい。



「よっぽど好きなんだなぁ、俺のことが。安心しろ、俺はお前の前からいなくならないし、お前を手放すつもりもない。余計な心配はしなくていい」



そう言いながら脱ぎ捨ててあった自身のシャツを私にかけ、バスルームまで案内してくれた。

着る物は好きなのを選べばいいと、色々な服がかかったラックがたくさん用意されていた。

靴やバッグも同様に揃えられ、そのほとんどがハイブランドの物だった。

本当に何者なんだろうか?問い詰めようと思ったが、彼と話しているうちにそんなのどうでもよくなった。

人殺しでも構わない…愛してくれるならそれでいい。



「一緒に入るか?」


「…NO」


「冗談だ」



ゆっくりしてこいと手をヒラヒラさせその場を離れていった。

服を脱ぎ扉を開くとそこには、キャンドルと本物なのだろうか?その周りには小さな宝石がばらまかれ、浴槽には無数の薔薇の花弁が散りばめられていた。

あまりにも幻想的で私は言葉を失い、ただその光景を眺めていた。



「素敵…」



彼女がその光景に見とれている間、男はシャロンがどんな反応をして戻って来るのか楽しみで上機嫌に鼻歌を歌って待っていた。

もちろん彼女はそれを知らない。

が、彼女も彼女で自分のおかれている状況をすっかり忘れ、バスタイムを楽しんでいたのだった。

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