燃える

第21話

目が覚めると見慣れない部屋、見慣れない家具…全てが初めての光景でどこか新鮮だった。

どこなのだろう?窓の外には辺り一面に緑が広がっていた。

別荘なのだろうかと思ったが、それにしても内装は都会的で家具は全て高級な物が置かれていた。

外とのギャップがすごく、ここはとても不思議な空間だった。

暗くてわからなかったけど…こんなに大きかったんだ、ベッド…枕に顔をうずめるとあの人の匂いが残っていた。

香水のような香りではなく、あの人本人の香りと…それに身なりにはに似合わないガソリンの香りがほんのりとした。



「起きてたのか」



どうやらシャワーを浴びていたのだろう。

濡れてクシャクシャの髪から雫が落ちていくのをまるで彼は気にしていなかった。

服を着ている時は気付かなかったけど、鍛えられてスラリとした体…それもまた色気があり魅力的だ。



「まだ眠そうだな?まぁあれだけヤッた後だ、無理もない。But…せめて服ぐらい着ろ。それともまだ物足りなかったのか?」


「そんなこと…」


「なら満足したか?それにしてもいい表情だったぞぉ、お前…俺の想像以上だ。ただ部屋が暗かったのが残念だ」


「……恥ずかしいから言わないで?」


「oh…Why is it so pretty?」

( おいおい…なんでそんなに可愛いんだ? )



拭いていたタオルを床に捨て、顔をギリギリまで近付ける…濡れた髪にはっきりとした顔立ち。

なんて素敵なんだろう……思わず見とれてしまうほどだった。



「…Stopped. It's the limit any more.( …やめだ。これ以上はモタない )楽しみは後に取っておくのが1番だ。ほら、さっさと風呂に入ってこい」


「…」


「そう不満そうな顔をするなぁ。安心しろ、ちゃあんと可愛がってやる。必要な物は全部揃えてやった。足りない物があれば言ってくれ。ほら、さっさと行け。風呂はあっちだ」


「あっちだけじゃわかんない」


「べつに行方不明になるわけじゃない。ah……それともアレか?そんなに俺と離れるのが嫌なのか?」


「行方不明?…なにそれ?」


「テレビを見ればわかる」



とびこんできたニュースに衝撃を受けた。

私が行方不明者扱いにされていること、それに警察官が殺されていたこと…この人が殺したんだと悟った。



「有名人だなぁ、お前」


「私…どうするべき?」


「どうするも何も、ここにいれば問題ない。それに時間が経てばいつか忘れられる。そうだろ?俺といれば安心だ…何かあったらすぐに助けてやれるし、ずっとお前のそばにいてやれる。元恋人とは大違いだ。まぁ、万が一警察に見つかるなんてことになったら、なにもかも話せばいい」



ちょっと待って、それって……

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