第15話

「That would be a problem…」

( 困ったな… )



携帯もお金もないし、おまけに靴もなくなっちゃった。

それにしても寒い…寒すぎる。

もう手足の感覚がない。

ほんとにどうなっちゃうんだろう?



「……I die.」

( ……このまま死ぬのかな )



それも……いいかもね。

死んだらこの苦しみから解放されるかな…?もしラクになれるんだったら私……



「死ぬのか?」


「!?」


「それはルール違反だ」


「……ほっといてよ」


「あんたに勝手に死なれちゃ困る」


「関係ないでしょ。それに連絡もしてない。ルール違反はそっちじゃない?」


「hun…」


「もういいでしょ?早く行って」


「…どうして誰かに縋ろうとしない?本当のお前は気が弱くて臆病で繊細な人間だ…そろそろ限界なんだろ?ん? Associate with me.( 俺の女になれよ )」


「嫌よ。仮にあなたといたとして…それでも私の苦しみは消えない」


「Why is it?」

( なぜだ? )


「……この記憶は一生消えない」



だからあなたといることなんて出来ない…そう口にしようとしたが出来なかった。

それよりも前に私はこの男に包まれていた。

こんな奴でもちゃんと暖かいんだ……



「そうかもしれないなぁ。俺は神じゃない。記憶を消すことも、忘れさせてやることもできない。だが1つだけ俺にしか出来ないことがある…なんだと思う?」


「……?」


「俺がそいつを殺してやる」


「……!?」


「これでもう怯える必要もない。今でも怖いんだろ?記憶は無理だが恐怖は消してやれる…どうだ?悪い話じゃないだろう?」



あいつを殺す…?

この人が…?



「自分じゃ出来ないんだろ?なら俺が代わってやる」


「……必死だった」


「ん?」


「近くにあったハサミをそいつに向けたの…」


「それで?」


「…いっぱい殴られた。もちろん顔も…それでも抵抗した。そしたら持ってたハサミを取り上げられてそれで……それでお腹を刺された。痛くて動けなかった…そしたらあいつ私にっ……」


「Ok,don’t speak.」

( もういい )



また泣いてしまった。

今度はこの男の腕の中で……涙が止まらない。

これまでの思いが一気に溢れ出るかのように涙は流れ続けた。

もう大丈夫だと言わんばかりに男の腕に力がこもった。

そして、頭を撫でてくれる手はとても優しかった。

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