第6話

「あなたがシャロンさんですね?事情は伺っています。さ、こちらへ」



迎えに来た男性刑事2名に同行し私はホテルに向かった。

道中車内はピリピリしていて、この人達が苛立ちを隠せないでいることはよくわかった。

それもそうだ。

今警察は大事件の捜査で忙しい時。

そんな時に事件なのかもわからないくだらないトラブルに巻き込まれた女の保護をしなければならないのだ。



「お忙しい中わざわざありがとうございました」


「いえ…しばらくの間ここに泊まっていただくことになります。向かいの部屋に交代で見張りをつけますのでなにかあればこの携帯で連絡してください」


「わかりました…」


「では、我々はこれで失礼します」



刑事達は足速にその場を去って行った。

どうせ帰りに私のとこ話してるんでしょ?

こんな時にあんな女の保護かよって…私だって好きでこんな目に合ってるんじゃないのよ。



「はぁ…」



複雑な思いのまま荷物を適当に開け仕事に打ち込んだ。

こんな時ぐらいって思うかもしれないけど、仕事ぐらいしか気を紛らわせるものがない。

私は必死で仕事に打ち込んだ。

いつもより真剣に、そして丁寧に…時間も忘れ私は夢中だった。

おかげで依頼主とのやり取りも順調に進み、企画も思ったより早く進められそうになった。

今取り組んでいるのは有名ブランドとのコラボ企画。

お互いのブランドイメージやコンセプトを意識してデザインしなければならない。

コラボ企画は初めてで戸惑いもあったが、企業側と意見が一致したため今のところ順調に進んでいる。

上手くいけば第2弾にも繋がるかもしれない…そんな期待を胸に仕事を進めていた。



「ふぅ…やっと終わった」



時計を見ると午後6時を回ったところだった。

お腹が空いたような気もしたが、今日1日で色んなことが起きたため疲労が溜まっていた。

少し横になって休憩するだけのつもりだったが、私はそのままソファーの上で眠ってしまった。

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