第5話
「……どうかした?」
「あっ、よかった繋がった…実は今知らない男から電話があったんだけど…」
「知らない男?」
「うん……たぶん薔薇とメッセージカードの人だと思う」
「ほんとに!?」
「カードに書いてあること言ってたから間違いないよ。これから私と会うみたいなことも言ってたんだけど…どうしよう?外に出たほうがいいかな?」
「いや、それは逆に危ないから部屋にいて。近くで聞き込みしてる刑事がいるからその人に事情を説明してシャロンを保護してもらう」
「優翔は…来られないの?」
「…ごめん。今ちょっと離れた所にいて…近くにいる刑事に頼んだほうが早く対応できるしそのほうが安全でしょ?それはわかってほしい」
「そう…だよね…?ごめん、わがまま言って」
「僕のほうこそごめん。シャロンにはしばらくホテルで生活してもらうことになるから必要最低限の荷物だけ用意してて。俺も落ち着いたらそっちに行くから」
「わかった。部屋に来てくれる刑事さんの言う通りにすればいいのよね?」
「事情は僕から話しておくから何も心配しないで」
「ありがとう…忙しいのにごめんね…」
そっか…優翔は来れないのか。
こういう時は恋人に助けてほしいって思うのは私だけ?
…これもわがままだよね?
警察官だもん仕方ないよね?
不安な思いを抱いたまま、私は急いで荷物をまとめた。
荷物と言ってもパソコンと仕事で使う資料がほとんどと少量の着替え。
恐らくホテルに着けばろくに外出できないだろう。
やることといえばデザイナーの仕事しかない。
仕事をしている時は何もかも忘れられる…その時間が私は好きだし幸せだった。
本当に全て忘れることができればいいのに…それか過去に戻ってやり直すとか?
けどいつに戻ればいいの?
優翔に出会う前?
それとも……あの日の夜?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます