第5話
それどころか無理に羽を動かしては、フラフラと桐也の周りを飛び続けている。
何度も “飛ぶな” と言われているのだが、蝶は桐也の言う事を一向に聞こうとはしなかった。
それは鳥かごに入れられている今もそうだ…
しかし桐也は羽の他にもう1つ心配している事がある。
“蝶の寿命” だ。
アゲハ蝶の寿命はおよそ2週間と言われており、今日が丁度その2週間。
いつまた弱ってしまうかもわからない蝶に、最期の時が来るまでにもう一度飛べるようにしてやりたいと思っている桐也なのだが、そんな彼の思いをよそに蝶は無理に羽を動かし続ける…
「お前、まさかわざとやってるんじゃないだろうな?」
彼の問いかけにピタリと止まる羽の動き。
どうやら図星のようだ。
「まったく…困った患者だ」
かごを開け指を差し出してやると、蝶は嬉しそに羽をパタパタさせてそこに止まった。
桐也は相当この蝶に気に入られてしまったようだ。
「今度言う事聞かなかったらもう診てやらないからな?」
わかっているのかいないのか…
蝶は再び青い羽をパタパタと動かし返事をした。
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