第3話

薄くて綺麗な青い羽を傷付けないよう、桐也は慎重に…そして丁寧に蝶の手当をした。




「よし……時間が経てばまた飛べるようになる。それまでは安静だ」




まるで桐也の言っている言葉がわかっているかのように、蝶は羽をパタパタとさせ返事をした。

そんな蝶に彼もまたいい子だと伝え、ようやく全ての治療が終わったとその場に寝そべるとすぐ眠りについた…




「……」




傷の手当も終わり一応自由の身であるはずの蝶は、逃げる事もせずなぜか眠っている桐也の姿をじっと見つめていた。

そして覚束おぼつかない動作で羽を動かすと、フラフラと桐也の元へ飛んでいったかと思ったら彼の胸の上で羽を休め、また動かなくなってしまった……

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