#4.旦那とデート_1

第5話

私には子供が4人いる



長男と三男は私の連れ子

次男は旦那の連れ子

そして末っ子で長女の娘が

いまの旦那との子供になる



初めての女の子なだけあって

旦那はかなり溺愛している



そんな娘の通う幼稚園では

年長になると

夏休みにお泊まり会がある



その日は

午後から登園して

バスでおでかけ



手作りバター体験をするらしい

クッキングが大好きな娘は

楽しみで仕方ない様子



夜はみんなで花火をして

幼稚園で就寝する



寝れない子は

ぬいぐるみやタオルなど

いつも使っているものを

持っていってもいいようで



娘はそんな物がなくても

寝れるのに

普段使わないぬいぐるみを

なぜか持参して

私に寝れないアピールをしてくる



そして

この日を楽しみにしていたのは

娘だけではなく旦那もだった



「娘がいないんだから2人で出かけよう」



お泊まり会のことを知った時

旦那がそう言ってきた



彼を好きになりかけている

いまの私にとって

旦那と2人で出かけるのは

複雑な気持ちだった



だけど現状私は結婚をしていて

彼とは会ったことすらない

架空に近い存在



何が現実なのか

理解できないくらい

気づけば

私の気持ちは

大きくなっていた



“正直できるなら避けたい“



当時コロナ禍真っ只中で

幼稚園でもちらほら

コロナ感染者がでていた



もしかしたら

中止になるかも!?

そんな淡い期待をしていたが

お泊まり会は予定通り行われた...



「どこのお店に行く?」



「んー、何かネットで探してみるよ...」



浮かれながら

聞いてくる旦那に

元気なく答える私



旦那は昔から

お酒を飲むと気が大きくなって

偉そうな態度をとる...



それがずっと苦手だった



その勢いで

帰りは手を繋いでくるだろうし

夜は間違いなくえっちが待っている



わかりきっている展開に

私はため息しか出ない



私は彼とデートがしたい



彼とのデートプランを

考えるだけで楽しめる



実際に行かなかったとしても

それはそれでいいんだ...



待ち合わせは絶対緊張する



でも

会った瞬間すごく嬉しくて

笑いが止まらない気がする...



“あぁ

そっちのほうが幸せだ...“





***************





あれこれ考えているうちに

お泊まり会当日がやってきた



私は事前に仕事の休みをもらっていた

午前のうちに

洗濯や掃除を済ませ

娘に早めのお昼ご飯を用意する



登園時間が

待ち遠しいようで

あっという間に完食



持ち物の

最終確認をして家を出る



幼稚園の前には

たくさんの先生と子供を連れた

お母さんたちであふれていた



泣くこともなく元気に

登園していく娘



“いいなぁ

私はこの後楽しみじゃないよ“



心の中でそう思いながら

娘に笑顔で手を振って送り出した



旦那はいつも通り仕事があり

終わり次第ご飯に行く予定だったが

いつもより早い帰宅にビックリした



「上司に早く帰れって」

「夫婦の時間は大切だからって」



「へぇ、そうなんだ」



“夫婦の時間なんて

ずっと作ってくれなかったくせに...“



今更すぎて

嘘でも嬉しいなんて言えなかった



“どうしていままで

作ってくれなかったの?“



“何回もお願いしたのに...“



2人で出かけるのは

何年か前の私の誕生日以来



その時はまだ夫婦仲がよくて

急に旦那が休みをとってくれて

お店も予約してくれて

楽しくて嬉しかった



その時店員さんに撮ってもらった写真を

いまだに寝室に飾っている



でも

もうあの時の2人はいない...



“なんでこうなっちゃったんだろう“



“戻れるなら戻りたいよ、あの頃に“



“でも.........“



私はそれ以上

考えるのをやめて

出かける準備に集中した




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