第30話 異世界転移編 二人の功績

「まさか、ゴブリンごときに遅れを取ったりしてないよな」


 私は燃えカスになった集落から空へと飛びたち、気配察知と魔力探査を行う。 すると、セバスの方も戦闘が終了していたらしく、周囲にはゴブリンの反応は無くなっていた。


 今更ながらセバスが戦ったゴブリンにも興味が湧いたのだ。 セバスの方向に向かって飛行する。 すると、地面にへたり込んでいるセバスと目が合った。


 着地して、セバスの様子を窺う。 すると周囲には百匹近くのゴブリンの死体が散乱していた。


「お前一人で相手したのか?」

「えぇ、少し調子に乗りすぎましたな。 次から次へと増援がやって来て、この数になったのです」

「なるほどなぁ」


 中には通常のゴブリンよりも大きな個体の死骸も見える。 気になったので、鑑定してみた。


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 名前 : なし

 種族 : ホブ・ゴブリン

 性別 : ♂

 レベル: 31

 体力 : 130

 魔力 : 50


 筋力 : 60

 持久力: 60

 賢さ : 50

 器用さ: 30

 素早さ: 20


 攻撃力: 30 + 8

 防御力: 25


 スキル: 筋力増大


 取得魔術: 指揮、格闘、棒術


 称号: なし


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「差し詰め、ゴブリン・ウォリヤーと言ったところか。 梃子摺てこずらなかったか?」

「えぇ、中々にシブトイ奴で、殺すのに苦労致しました」

「だろうな」

「人間の時だったら、敗北していたかも知れません。 まぁ、一人で立ち向かうなんてバカな真似はしなかったとは思いますが」

「それで、ヴァンパイアの体には慣れたのか?」

「えぇ、体力は問題なく残っていたのですが、先に気疲れした気分です」

「まぁ流石に人間だったら、この数は相手にしないわな」


 そこで、気になったのでセバスも鑑定してみる。


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 名前 : セバス・ドルネイク

 種族 : 吸血鬼

 性別 : ♂

 レベル: 2

 体力 : 3,200

 魔力 : 1,800


 筋力 : 1,024 + 120

 持久力: 980

 賢さ : 820

 器用さ: 780

 素早さ: 1,012


 攻撃力: 1,500 + 140

 防御力: 1,250 + 20


 スキル: 聖剣技、暗殺術、計算、料理、吸血、血流操作、再生(小)


 弱点 : 日光、聖水、聖銀


 取得魔術: 火炎魔術、生活魔術、闇魔術


 称号: 『元・剣聖』、『暗殺者』、『ルビー・サファイヤの眷属』


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「おおぅ、レベルアップしているぞ!」

「本当で御座いますか?」

「あぁ、何方かと言えば戦士寄りのレベルアップだな」

「まぁ、剣術だけで乗り越えましたから、そのセイで御座いましょう」

「いやいや、魔法を使わないでこの数を相手にするなんて、普通は出来ないぞ。 流石は『元・剣聖』と言ったところだな」

「恐縮で御座います」


 百数匹のゴブリンを剣術だけで乗り切るとか、脳筋が過ぎる気もするが、まぁこんなヴァンパイアがいても悪くはないのかも知れないな。


「お前の戦利品は、ストレージに仕舞い込もうと思うんだが、構わないか?」

「えぇ、ゴブリンですが、食事代くらいにはなるでしょうからね。 宜しくお願い致します」

「うん、『収納!』」


 そう言って、ゴブリンたちもストレージへ直行させる。


「そう言えば、火柱の様なモノが見えた気がしたのですが、お嬢様も何かと戦っていらっしゃったのですか?」

「火柱? あぁ、ファイヤー・ストームの事か。 確かに戦っていたぞ。 私は魔術で数を減らしてから、キング・ゴブリンとの決戦だった」

「キング・ゴブリンですか? この森でジェネラルではなく?」

「そうだぞ。 見るか? キング・ゴブリンの首」

「えぇ、是非に!」


 セバスにせがまれたので、キング・ゴブリンの首を見せると、大層驚かれてしまった。 何でもキング・ゴブリンは『ゴブリン・スタンピード』と呼ばれる災害を起こす種で、発見されると大騒ぎになるらしい。


「もしかして、二人で防いじゃったの? 『ゴブリン・スタンピード』」

「はい、その様に存じます」


 こうして、セバスと私で『ゴブリン・スタンピード』を防いだ事を、初めて思い知った。


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